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2006.01.28

モーツァルトについてのコラムを見て

mozart_google  昨日の朝、目が覚めて「めざましテレビ」をつけたら丁度モーツァルトの音楽を紹介していました。「ヲイヲイまたかよ」と思いながら「今日から明日にかけて、モーツァルトの名前を避けて通ることはできないな」と改めて実感しました。なにしろ「google」もモーツァルト化してるんだもん(苦笑)。

 楽聖に対する愛憎半ばした気分を引きずりつつ出勤し、仕事前に「産経新聞」に目を通すと3面のコラムで「モーツァルト生誕250年 クラシック危機鮮明」と出ていました(電子版はこちら)。モーツァルト没後200年の記念年だった1991年の状況と比較しながら、昨今のクラシック音楽の地位低下を嘆く内容なのですが、何度読んでもいまいちピンときませんでした。コラムによると「'91年は40万円もするモーツァルト大全集が7000セットも売れた」「一方今年リリースされるのは聴き所を寄せ集めたコンピレーションばかり」ということなのですが、正直これはクラシック音楽というより、ここ数年の音楽産業全体の退潮傾向を示しているだけのことだと思いますし、バブルの余韻が残っていた'91年と、もうけが出にくい新録音が激減した今とを比較するのは少々無理があるような気がします。ついでにいうと170枚でありながらHMV.co.jpでは32,423円というブリリアント・レーベルの「モーツァルト大全集」は世界中で70,000セット売れているそうです(参照)。モーツァルトを細切れにしてバラ売りにしたアルバムも確かにたくさんありますが、それだけではないのです。
 まあ産経のコラムではクラシックが商業主義の犠牲になっていることを訴えたかったのでしょうが、その態度をより一層鮮明に打ち出しているのが批評家ノーマン・レブレヒトの最新コラム(参照)です。以下引用失礼。

..."What we are witnessing is the rebirth of Mozart as McDonalds: everywhere you look, and always the same the world over. This coming weekend will serve up triple Mozart-deckers and Mozart-lite for weight watchers. I’m loving it...."...

「モーツァルトのマクドナルド化」ですか。♪パヤ~パッパヤ~ I'm Lovin' itですか。「モーツァルト三枚重ね」のハンバーガーにドリンクは「モーツァルト・ライト」ですか。おいしそうですね(笑)。
 まあこれも上手い例えだとは思うんですが、レブレヒト氏の場合はモーツァルトの作品に対する評価が他の人よりやや厳しいみたいです。

..."How many of these are masterpieces? Of the 41 symphonies, no more than six - the Jupiter and its immediate predecessors. Of the 22 operas on show at Salzburg this summer, just the Da Ponte triptych - Figaro, Don and Cosi - and the Magic Flute. Of the 27 piano concertos, the two in minor keys and maybe a couple more. Add the clarinet concerto and quintet, the flute concertos and Eine Kleine Nachtmusik and you have just about all the Mozart that is worth hearing."...

 モーツァルトの作品で傑作といえるのは後期の6大交響曲、というのはまあいいとしても、ピアノ協奏曲は「ニ短調」「ハ短調」以外は2、3曲、というのはちょっと…。それからマイ・フェイバリットな弦楽五重奏曲を始めとする室内楽は「クラリネット五重奏曲」以外はレブレヒト氏の御眼鏡に適わなかったようです…。まあコラムによるとベートーヴェンより傑作が少ないのに宣伝力で過大評価されてしまっている、というのが彼の主張のようです。
 実は一批評家の個人的見解より興味深い事実がこのコラムでは紹介されています。指揮者のトスカニーニはあまりモーツァルトを評価していなかったフシがあるのです。

..."The former Edinburgh Festival boss Peter Diamand once told me of an inquiry he received from Toscanini in the early 1930s after Artur Schnabel had given a rare performance of Mozart’s last piano concerto, K595. Was it, Toscanini wondered, worth repeating? Few musicians in those days were familiar with more than 20 Mozart works."...

 20世紀の前半における音楽業界のモーツァルトに対する評価は、幾つかの特定の作品に限定されたものだったようです。それがいつ、どのようにして現在のようにモーツァルトの作品がどのジャンルも手広く演奏会で取り上げられるようになっていったのか、そのことに私は興味があります。個人的には古楽ムーヴメントが関係しているのではないかと思っているのですが、少し自信が持てません。

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Comments

リベラ33様こんばんは。
私は実はモーツァルトは人によって好悪を分かつところがあると思っています。レブレヒト氏のように、この数日の熱狂に流されることなく、冷静に眺める人も多いと思いますよ。
ttp://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/4654880.stm
↑ザルツブルグの地元住民の中には、喧騒を避けたいので町の中心部には行きたくない、と嘆く人もいるそうです。

Posted by: 「坂本くん」 | 2006.01.28 at 22:48

こんにちは。
レブレヒト氏のコラム、とても興味深く読みました。僕は正直、モーツァルトを特別な意識で聴かないのですが、そんな自分と世間との温度差にはかねて戸惑いがありました。僕はどうもロココ風なものとか、ウィーン風なものはちょと苦手な傾向があるようで、その為かもしれません。
どちらにしても、現状の世間のモーツァルト観というのはいささか客観性を欠いているように僕には思えます。。。

Posted by: リベラ33 | 2006.01.28 at 11:52

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