ロストロポーヴィチ アパートの住民から訴えられる
チェリストのムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(以下ロストロ)が所有するサンクトペテルブルグのアパートの近所住民が、彼を相手取り訴えた裁判で、サンクトペテルブルグ地裁はロストロに対し10万ルーブル(約40万7400円)を住民に支払うよう命じる判決を出しました。チェリストがご近所さん達から訴えられた、となると「騒音訴訟か」と早とちりしそうですが、裁判沙汰に繋がったきっかけは、ロストロが所有する部屋のリフォームにまつわるトラブルでした。
ロストロ夫妻は今年生誕100周年を迎えたショスタコーヴィチに因んだ展示物を並べた美術館を作ろうと考えていました。その場所として夫妻はサンクトペテルブルグにアパートの一室を購入し、美術館に改装するための工事を行ったのですが、工事終了後に下の階の部屋の天井と壁の間にヒビが入ってしまいました。それを見て住民が損害賠償を求めてロストロを訴えた、というのが事の経緯です。この件についてロストロ側の弁護士は「ちゃんと工事をしなかった業者の方に責任がある」と施工業者を批判していますが、控訴するかどうかは検討中との事です。一方原告住民側は「賠償額が低すぎる」と控訴の構えです。
ロストロ側にすれば、せっかく「ショスタコーヴィチ・イヤー」にイベントを仕掛けようとした矢先にこんな事態になってしまい、まさに冷や水を浴びせられたような気分でしょう。ただ今回のケースのようにアパート(またはマンション)で他の部屋の住民にご迷惑を掛けてしまったら家主が弁償するのは原則ですから、個人的には今回の判決も「まあ仕方ないかな」と思います。
(参考)
MOSNEWS.COM. Russian Cellist Rostropovich Fined for Damaging Neighbor’s Apartment (January 19, 2006)
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