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2005.12.07

メルヴィン・タン 徴兵拒否で大問題に

Melvyn_tan フォルテピアノ奏者のメルヴィン・タン(写真)が、母国シンガポールで義務付けられている懲役を拒否したため、罰金3000シンガポールドル(約21万5000円)を支払いました。タンは12歳の頃に祖国を離れて英国に音楽留学した後、兵役に就く年齢に達した1977年になってもシンガポールに戻らず、逆に英王立音楽アカデミーに進学し、翌年にはシンガポール国籍を捨てています(現在は英国籍)。今回の罰金は、シンガポールで開催されたコンクールの審査員として、両親への面会を兼ねて28年ぶりに帰国した今年4月に請求されたものです。

 ところでこの事実が明らかになった先月以降、地元シンガポールでは「3000シンガポールドルの罰金」というタンへの懲罰が軽すぎるのではないか、という批判が高まっています。同国の法律では徴兵拒否の場合「5000シンガポールドルの罰金」か「3年以下の懲役」と定められているからなのですが、これについて同国の国防相Teo Chee Hian氏は「処罰は裁判所が決めることだ」としながら「裁判所は判例に沿って処罰を決定しなければならない」とし、タンのケースについては「あくまで私見だが、このようなケースについては懲役刑が妥当だと思う」とコメントし、今後徴兵拒否に対する罰則を見直し厳罰化する可能性についても言及しました。この声明と前後して、シンガポールで予定されていたタンのリサイタルは中止になり、上記のコンクールの審査員も辞退しました。今後シンガポールの徴兵制が廃止されない限り、タンは二度と母国の土を踏むことはできないのではないでしょうか。
 徴兵制といえば、韓国をどうしても連想してしまいますが、韓国では国際試合で活躍したスポーツ選手は兵役が免除されるか、負担が軽減されたりします(参照:韓国の徴兵制)。またドイツでは徴兵を拒否したものにはボランティアをさせる「良心的兵役拒否」制度が存在します(参照:Wikipedia「徴兵制度」)。シンガポールにはそのような「抜け道」は存在しないようです(参照)。

(参考)
PlaybillArts. Pianist Melvyn Tan Cancels Return to Singapore Over Draft Controversy. (December 6, 2005)
Channel NewsAsia.com. Mindef considers stiffer penalties for Singaporeans evading National Service. (December 1, 2005)
TODAYOnline.com. Tougher penalties for NS evaders? Defence Minister says enlistment laws are being reviewed. (2 December, 2005)

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Comments

ガポールで予定されていたタンのリサイタルは中止になり、上記のコンクールの審査員も辞退しました。今後シンガポールの徴兵制が廃止されない限り、タンは二度と母国の土を踏むことはできないのではないでしょうか。

Posted by: Zooey Deschanel | 2011.10.08 at 18:32

に英王立音楽アカデミーに進学し、翌年にはシンガポール国籍を捨てています(現在は英国籍)。今回の罰金は、シンガポールで開催されたコンクールの審査員として、両親への面会を兼ねて28年ぶりに帰国した今年4月に請求されたものです。

Posted by: Charlie Sheen | 2011.10.07 at 22:46

でも国防相まで積極的に発言してる、と聞くと何だかシンガポール政府の徴兵制度のキャンペーンにタンが利用されてしまってるような印象も無きにしも非ず、ですが。

Posted by: Camarad | 2011.09.05 at 22:10

子供だけが海外に出国し帰国しなかった場合、罰金や懲役刑などはシンガポールにいる両親に科せられるのでしょうか?

Posted by: recherche femme russe | 2011.05.20 at 19:33

子供だけが海外に出国し帰国しなかった場合、罰金や懲役刑などはシンガポールにいる両親に科せられるのでしょうか?

Posted by: 在星1年 | 2009.04.06 at 15:11

Kiasu様こんばんは。
>こちらではいまだ、新聞であれやこれやの投稿が目につきます。
そうですか。そちらで今なお熱い議論が続いてるということは、よほどポピュラーな話題なんでしょうね。でも国防相まで積極的に発言してる、と聞くと何だかシンガポール政府の徴兵制度のキャンペーンにタンが利用されてしまってるような印象も無きにしも非ず、ですが。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.12.09 at 23:20

こんにちわ、はじめまして。TBありがとうございました。私のBlogでも何回もとりあげましたが、現状、兵役逃れは簡単ではありませんね。シンガポール(男性の場合)のパスポートには11歳半(立ったと思いますが・・・・・)になると海外にでる場合エンドースメントが押されます。これで将来の兵役を強制するようなものです。むろん、この国が嫌いな物は海外に逃亡しているようですが、実際問題お金がかかりますね。会社からのレターは2年間の兵役義務を全うしたあとの訓練等参加には有効かもしれませんが・・・・・・。

こちらではいまだ、新聞であれやこれやの投稿が目につきます。あとタンが自らリサイタルそして審査員を辞退したことですが、こんなに大騒ぎになってはできないのだろうと判断したんでしょう。

Posted by: Kiasu | 2005.12.09 at 12:06

ばってん様こんばんは。貴重なご意見ありがとうございました。
>政府から徴兵の連絡があった時、会社が(中略)書面を提出して、兵役逃れ
シンガポールにも「抜け道」はあるんですね。でもそれは法律で決まっている事項なのか、気になります。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.12.08 at 18:16

ども

シンガポールの兵役拒否、建前はおっしゃる通りですが、
実際はいろんな手段で拒否は出来ています。
政府から徴兵の連絡があった時、会社が「その時期、
大事な海外出張がある。それはシンガポール経済に
とっても有益なことだ」みたいな書面を提出して、
兵役逃れをすること、まかりとおっていますって。
で、実際は出張なんかしないんだけどね。
でも何度もやっているとさすがにシンガポール政府も
バカじゃないんで、時々用もないのに、マレーシアみたいな
近隣ではなく、日本とか韓国とか、そういうとこに
出張するって。こうやってかれこれ10年くらい
兵役逃れしてるシンガポールの友人、知っています。

Posted by: ばってん | 2005.12.08 at 03:32

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