大理石で出来たチェンバロ
この楽器はエステ家のモデナ公・フランチェスコ2世のために楽器職人のMichele Antonio Grandiが1686年に製作したもので、長さは2.7m、重さは250kg以上あります。大理石の表面にチューリップ、バラ模様などの彫刻が施されたこの楽器は、エステ家の没落と共にモデナから姿を消し、長らく行方知れずでしたが、つい最近骨董品マーケットに流れていたところを地元の銀行が購入し、修復の上で展示されることになりました。エステ美術館にはこのチェンバロと同じ職人の手による、大理石で出来たギターも所蔵されています。ゴージャスな楽器2台のそろい踏みは、かつてのエステ家の栄華を偲ばせることとなりそうです。
地元ではこの珍しい楽器の里帰りを祝うべく、チェンバロの巨匠グスタフ・レオンハルトによる演奏会が開催されますが、レオンハルト自身はこの大理石のチェンバロに触れることはありません。楽器のアクションは今でもちゃんと機能することが確認はされているのですが、弦を張ると(実は結構脆い)大理石にヒビが入る危険性がある、と楽器修復の専門家が指摘したからです。
(参考)
ANSA.it. Marble harpsichord returns home(2 December, 2005)
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