Apex 10 - My Best 10 CDs 2005-
正直今年は去年よりは不作かな、と思ったりしてたのですが、改めて10枚並べるとなかなかいいアルバムがそろいましたね。まああくまで個人的なベスト、ということですのでそのあたりご容赦下さい。
ただ元々新物好きの私が「おおっ」て思うような「新たな発見」がもう少しあれば嬉しかったな、と思ったりもします。ただでさえレコード産業が先細りの昨今ですから、新たな才能をCDショップで見つけるのはいよいよ難しくなっています。そんな中殆ど無名だったヴァイオリン奏者のルミニッツァ・ペトレが自主制作CDを通して脚光を浴びたことは現代の奇跡なのかもしれません。しかしペトレはプロフィールで見る限り堂々たる実績の持ち主です。星の数ほどいるアーティストの銀河から綺羅星を見出すことはそれほど難しいことなのでしょうか。
それでは10枚のCDのリストを晒します。
●日本音楽界の恩人「レオ・シロタ教授を讃えて」(グリーンドア音楽出版:GD-2009/11)(→amazon.co.jp)
戦前の名教師レオ・シロタの「鍵盤の巨匠」としての実力を余すところなく伝える好企画。ローゼンタール版「子犬のワルツ」が楽しめるのも貴重。私はこれを聴いて「何匹子犬がいるんだよ!」と思った。
●ヴァントのオットーボイレン修道院大聖堂ライブ(Profil:PH04058)(→amazon.co.jp)
聴くものをひきつける強い求心力を持ったブルックナー「第9番」の演奏。個人的にはミュンヘン・フィルとの共演盤(裏青)より好きかも。
●イル・ジャルディーノ・アルモニコ「悪魔の棲む家」(naïve:OP 30399)(→amazon.co.jp)
現在描写音楽の演奏にかけては彼らの右に出るものはいないだろう。血沸き肉踊るエマヌエル・バッハの交響曲も必聴。
●小菅優のショパン「前奏曲集」(Sony/BMG:SK93681)(→amazon.co.jp)
「誰々風」ではなく自分自身の感性で貫かれ、それでいて説得力のあるショパン演奏。「彼女がショパン・コンクールに出たら一体どこまで勝ち残っただろう」と、ついイケナイことを考えてしまう。
●ルミニッツァ・ペトレのバッハ「無伴奏」(自主制作CD)(→HMV.co.jp)
私のつまらない文章よりも、ネット上の賛辞の数々(1,2,3,4)をご覧いただく方が、彼女の演奏の素晴らしさが伝わると思います。
●ノリントンの「巨人」(Hänssler:CD 93.137)(→HMV.co.jp)
古楽的奏法をマーラーへ導入したことの是非を議論するよりも、民俗的な面に焦点を当てた解釈で、聴くものに「新しい視点」を提示したことを評価したい。
●スルタノフ 伝説の日本ライブ(SACRAMBOW/オクタヴィア:OVSL-00013)(→amazon.co.jp)
若くして病死したピアニストの貴重な記録。ライブ当時26才のスルタノフのパッションがショパンの楽譜に秘められたパッションと同化し、熱い演奏を繰り広げる。
●漆原朝子のブラームス(フォンテック:FOCD9235)(→amazon.co.jp)
落ち着き払った佇まいの中に秘められた色気と艶。大人の魅力に溢れるブラームス。
●リーズ・ドゥ・ラ・サールのバッハとリスト(naïve:V 5006)(→amazon.co.jp)
10代らしからぬ多彩なタッチ。それが仏頂面になりがちなバッハとリストの音楽に豊かなニュアンスを与えている。
●ジョバンニ・ミラバッシ「Prima O Poi」(澤野工房:AS053)(→HMV.co.jp)
繊細な指さばきで美しい旋律を奏でるミラバッシの音楽を、ジャズマニアだけのものにするのはもったいない。ピアノ音楽の愛好家にもオススメ。
(以上順不同)
The comments to this entry are closed.
Comments