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2005.12.13

【レビュー】アルバン・ベルクSQのベートーヴェン全集DVD

ABQ_LvB02 ABQ_LvB03 ABQ_LvB01

(2006.3.17註)このレビューは輸入盤DVDを視聴した上で作成しましたが、今年5/24に日本版(リージョン2)が発売されます。上の写真をクリックするとamazon.co.jpのサイトから予約できます。

<曲目>
[Vol.1](写真左)
1.ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番ハ短調 作品18-4
2.同:同第14番嬰ハ短調 作品141
3.同:同第1番へ長調 作品18-1(以上DVD1)
4.同:同第3番ニ長調 作品18-3
5.同:同第10番変ホ長調 作品74「ハープ」
6.同:同第13番変ロ長調 作品130(以上DVD2)
[Vol.2](写真中)
1.同:同第12番変ホ長調 作品127
2.同:同第7番ヘ長調 作品59-1「ラズモフスキー第1番」(以上DVD1)
3.同:同第2番ト長調 作品18-2
4.同:同第11番へ短調 作品95「セリオーソ」
5.同;同第15番イ短調 作品132(以上DVD2)
[Vol.3](写真右)
1.同:同第5番イ長調 作品18-5
2.同:大フーガ変ロ長調 作品133
3.同:同第8番ホ短調 作品59-2「ラズモフスキー第2番」(以上DVD1)
4.同:同第6番変ロ長調 作品18-6
5.同:同第16番ヘ長調 作品135
6.同:同第9番ハ長調 作品59-3「ラズモフスキー第3番」(以上DVD2)

<演奏>
アルバン・ベルク四重奏団
ギュンター・ピヒラー、ゲルハルト・シュルツ(ヴァイオリン)
トーマス・カクシュカ(ヴィオラ)ヴァレンティン・エルベン(チェロ)

 1989年6月にウィーン・コンツェルトハウス内モーツァルトザールで行われた、アルバン・ベルクSQ(以下「ABQ」)によるベートーヴェン・弦楽四重奏曲連続演奏会の模様を収録したDVD6枚組セットです。

 それにしても、このライブでのABQの合奏能力の高さには今更ながら感嘆させられます。彼らの演奏だと、4人で演奏する和音がちゃんと一つの「音の塊」として、まさに「ジャーン!」という感じで聞こえてきます。特に「第12番」の冒頭部の和音は(意識的にアタックを強くしていることもあって)まるで大鉈(おおなた)を上から振り下ろしたかのような迫力です。また4人の合奏場面での各パートのバランスも絶妙で、どの音も埋没せず自己主張しています。それが豊かな響きとなり、雄大で力強い表現を生み出します。ppからffまでのダイナミックレンジの広さも印象的です。
 劇的構成に配慮しつつも安定感のある音楽解釈も説得力あふれるものです。それを特に感じるのは最近自筆譜が高値で取引され話題になった「大フーガ」です。冒頭から最後の音が鳴り止むまで常にダイナミックな音楽が進行し、中間の弱音部でも集中力が欠けることはありません。また「第12番」以降の後期作品は、ベートーヴェンが故意に音を削ぎ落としたようなところがあり、それが音になるとどこか頼りないというか、幽霊がうろうろしているみたいに聞こえることもあるのですが、ABQの演奏だとそのようなことはなく、音楽にはちゃんとした実体があり、生命力と力強さがあります。
 ただABQの場合、決して取り乱したところを見せない紳士のように、節度を保ち音楽が進行していきます。塞ぎ込んだり憂鬱になったり、はたまた感情的になって喚いたり泣き叫ぶようなことはありません。そのあたりの落ち着いた雰囲気が物足りない、と感じる向きもあるかもしれません。ただ彼らもロマンティックな表情表現を忘れてはいません。「セリオーソ」終楽章での第1バイオリンのカンタービレや「ラズモフスキー」第2番の緩徐楽章での情感あふれる表現は聴き手の心に滲みます。
 総じてABQの安定感のある演奏が楽しめるこのライブ演奏ですが、今回はこれに映像が付いているわけで、これによりABQの各メンバーの運弓、指のポジショニング、ザッツの合わせ方などを映像で確認することができます。これは弦楽四重奏で実際に演奏なさる演奏家には(プロ・アマを問わず)すごく参考になるのではないでしょうか。それだけでなく純粋に弦楽四重奏を映像で見る、という行為も楽しいものです。各奏者は演奏のあいだしょっちゅう上下左右に体を動かしています。特に第1バイオリンなどは時折腰を浮かせ、このまま立ち上がってしまうのではないか、と思ってしまうほどです。またCDだと易々と弾いているように思えるフレーズも、映像だと「結構大変なことをやってるんだぁ」と気づかされたりもします。そんな激しい動きをDVDを眺めていると、自分が「ベートーヴェン対ABQ」の16番勝負を見ているような気分にさせられます。となるとDVDの最後の曲「ラズモフスキー第3番」の最終楽章=フーガは、さながら勝利を収めたABQのウィニング・ランといったところでしょうか。

(EMI, 0946 3 38573 5 3(Vol.1)/0946 3 38586 9 5(Vol.2)/0946 3 38595 9 3(Vol.3))

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総じてABQの安定感のある演奏が楽しめるこのライブ演奏ですが、今回はこれに映像が付いているわけで、これによりABQの各メンバーの運弓、指のポジショニング、ザッツの合わせ方などを映像で確認することができます。これは弦楽四重奏で実際に演奏なさる演奏

Posted by: donne ucraine matrimonio | 2011.05.20 at 20:03

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