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2005.11.21

【レビュー】スルタノフ 伝説の日本ライヴ

sultanov_CD

(演奏)アレクセイ・スルタノフ(ピアノ)
(曲目の詳細は、レコード会社の公式サイトをご覧ください)

 スルタノフの突然の訃報から程なくリリースされた1996年の来日時の演奏録音です(→amazon.co.jp)。収録曲はスクリャービンとラフマニノフのソナタ以外はすべてショパンの作品なのですが、そこでの明確な自己主張を持ったスルタノフの演奏は聴きものです。

 一聴してスルタノフのショパンは大変エネルギッシュでダイナミックなものであることがわかります。そこからは「感情的」といってもいいほどのテンペラメントを感じます。スルタノフが演奏に込めた喜怒哀楽の感情が、そのままショパンの楽譜に刻まれた感情の起伏と見事にシンクロしている、そんな印象です。
 かと言って彼の演奏からは決して「若くて活きのいい演奏」という範疇に留まらない、確かな技巧が感じられます。もちろん彼の速い走句での手さばきは見事なものです。だがそれだけでなくスルタノフは「音の強弱のコントロール」に非常に長けています。彼のクレッシェンド、ディミヌエンドなどの強弱の変化の造形は、なめらかで非常に均整の取れた美しいもので、その巧みなコントロールが音楽に与える影響は実に効果的で、彼のショパンは起伏に富んでいて、一方でどこか影が差したような複雑な感情を伴ったものとなるのです。そしてこの音量の変化は「ここで使うべき」適切な箇所で用いられます。それが彼のショパンを説得力あふれるものにしています。
 スクリャービンとラフマニノフも優れた演奏なのですが、ショパンと比較すると若干一本調子な感が否めません。それに両曲ともコーダではミスがありますし(難曲なのでライブでの傷は仕方ないのですが)。しかし何にも増してショパンが素晴らしいので、それを評価すべきでしょう。ともあれスルタノフの良い状態のときの演奏を、こうしてCDで聴く事ができるですから、そのことを喜ばないといけませんね。

(SACRAMBOW/Octavia, OVSL-00013, ASIN:B000BKTDRK)

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Comments

ya-ya-ma様こんばんは。貴重な情報ありがとうございます。

>あのコーダでものの見事にピアノ線を切ったハプニング
そうでしたか。知りませんでした。この日のスルタノフは相当力が入っていたのでしょうか。その意味でもこのライブは貴重なドキュメントですね。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.11.24 at 20:29

どうも、お久しぶりですm(_ _)m 丁度前回のスルタノフ死去の記事依頼になりますか(^-^;
このようなディスクが出たのはうれしいですね。個人的にはこの頃のスルタノフが一番気に入ってます。この時の演奏から数年後の彼の演奏は(言葉を選ぶのが難しいですが)、ちょと自分の好みからはかけ離れていった印象なので。
このディスクの中には、NHKで放送されなかったショパンの英雄ポロネーズや、第2ソナタが収録されているみたいなので、是非聴いて見たいです。おかかさんがショパンが余計にオススメということであればなおさらですね♪
個人的には、あのコーダでものの見事にピアノ線を切ったハプニングのあったスクリャービンの第5ソナタがお気に入りですが(^-^;

Posted by: ya-ya-ma | 2005.11.22 at 23:23

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