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2005.10.26

マルティン・シュタットフェルトのCD

martin_stadtfeld01  英ソニーのクラシック部門はアイドル路線まっしぐらですが、ドイツのソニーBMGは比較的アダルティーな気鋭の演奏家を積極的に登用しています。そんな同社が小菅優バイバ・スクリデ(←今回からこのように表記します)、石坂団十郎に続いて世に問うのはマルティン・シュタットフェルト(→公式サイト)。現在「ゴルトベルク変奏曲」(→amazon.co.jp、「Bach Pur」(→amazon.de)、そしてモーツァルトのピアノ協奏曲集(→amazon.de)の合計3タイトルがリリースされています。「ゴルトベルク~」は日本盤も近々発売される予定で、音楽雑誌の広告には「グールドの再来」というキャッチコピーが踊っています。

 シュタットフェルトの演奏には確かにグールド的な瞬間(例えば速いパッセージでの音のクリアネスやアタックの鋭さ)もあったりするのですが、両者の違いも明らかに感じられます。グールドはフレーズの処理がしなやかで、肉感的な躍動を感じさせるのに対し、シュタットフェルトは全体的に表情付けが硬くて、それが良く言うと「冷静な」、悪く言うと「無愛想」な印象を与えます。テンポの動きも殆どなく、終始インテンポで一直線に進んでいきます。
 そんな四角四面なところのあるシュタットフェルトですが、技巧的には隙がないというか、本当に文句のつけどころがありません。中でも彼のテクニックを特徴づけているのは「均質な音」と「高解像度」です。彼のピアノのタッチは、高音部から超低音まで、どの音も等しく同じような「質」で響きます。この響きの「均質さ」のため、対位法的に錯綜する箇所でも、中声部や低音域の音がごちゃごちゃと濁るようなことがなく、どの声部も非常にクリアで洗練された表現となっています。
 このように曲全体を通してインテンポを保ちながら、クリアなサウンドで聴かせるシュタットフェルトの解釈は、「渋み」「難解さ」「複雑さ」などを排した、非常に分かり易いものです。私などは「インテンポ」で「クリアなサウンド」というと、ピアニストではありませんがカラヤンを連想してしまいます。カラヤンがポピュラリティーを得たように、シュタットフェルトもスターになっていくのでしょうか。立て続けに3枚もCDをリリースするというのは、近年に例を見ないほど強力かつ熱心なプロモーションと思われます。その甲斐あってか、彼のCDは地元ドイツでは結構な売れ行きのようです。
 個人的には既発の3タイトルのうち、最新アルバムのモーツァルトはお薦めしません(オケがあまりにも事務的なのでがっかり)。シュタットフェルトを知るなら、やはりバッハの作品集の2枚のうちのどちらかが良いでしょう。ただ個性的な演奏ですので、皆様がお気に召すかどうかは保証できません。できれば上記リンク先や「ソニー・クラシカル」内(→こちら)、そして(可能なら)店頭で試聴された上で購入することをお勧めします。

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Comments

>バイバ・スクリデは、ルノー・カプソンと婚約
らしいですね。おめでたいですね。
ヴァイオリニスト同士といえば、ジャニーヌ・ヤンセンとジュリアン・ラクリンが交際中ですね。「四季」でどうして共演してるのかな、と思ったらそういうことだったようです。
………、
なんだかこのコメント欄、シュタットフェルトと無関係な方向に行ってしまいましたね(笑)。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.10.30 at 04:25

こんにちは。いつも楽しく読んでいます。

いきなり正統派レパートリーでデビューということで気になっていました。何となくですが、同じ若手ピアニストということで言えば、ウィーンのティル・フェルナーにレパートリーの方向性が似ていそうですね。モーツァルト協もピアノを聴くために買ってしまいそうです。

ところで、全然関係なくて恐縮なのですが、先日来日してシベリウス協を弾いていったバイバ・スクリデは、ルノー・カプソンと婚約したという記事を「ぶらあぼ」で読みました。国際的に活躍するヴァイオリンのソリスト同士の結婚は非常に珍しいんではと思っています。

Posted by: ふらんく | 2005.10.30 at 02:09

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