21世紀にコンクールは必要か
コンクールが真に優秀な演奏家を選ぶためのセレクションとして機能しているかどうかについては、正直私も疑問に感じています。コンクールはかつてのような「キャリアアップの場」として演奏家の誰もが通過する場所では無くなっているのは確かです。真の実力の持ち主は(キーシンや五嶋みどりのように)コンクールなどすっ飛ばして世界中に演奏活動を行うのが現在では普通です。率直に言うと、全世界にあまたとあるコンクールで実力を認めて貰おうと世界を駆け回る演奏家たちは、私には単位を取るためにキャンパスを右往左往する大学生のように映ります。
それでもなお、音楽ファンがコンクールの結果に一喜一憂するのにはワケがあります。ファンは常に熱狂の場に身を置きたいのです。結果が真の実力を反映したものでは無かったとしても、それをネタにして議論し、愉しむだけのバイタリティとしたたかさがファンにはあります。そんな微妙な愛好家の心理を主催者を始めとする業界の方々はご理解して頂きたいのです。そして多くの人々を引きつける効果のあるコンクールを、音楽イベントの一つとして今後も大事にして頂きたいなと思います。ただそうであればこそ、我々ファンはこれまで以上に審査に「公正さ」と「厳正さ」を声高に申し上げたいのですが。
The comments to this entry are closed.
Comments