【レビュー】ヴァント&シュトゥットガルト放送響のブルックナー「第9番」
曲目:ブルックナー:交響曲第9番ニ短調
演奏:ギュンター・ヴァント指揮シュトゥットガルト放送響
(1979年6月24日 オットーボイレン、バシリカ聖堂オットーボイレン修道院 大聖堂[→9/26追記:※1]でのライブ録音)
聴き進むうちにブルックナーの深淵にどんどん吸い込まれていくような、そんな強い求心力を持った演奏です。このことはヴァントのブルックナー演奏を聴くといつも感じることではあるのですが、今回リリースされた1979年のライブは晩年の演奏と較べてより「熱」を帯びていて、肉感的ですらあります。ヴァントが晩年よりも早めのテンポを取っていて、その結果推進力を音楽に与えているのです。第1楽章での奔流のようなクライマックスは圧倒的ですし、第3楽章の(9'35"過ぎからの)低弦に導かれる突然の音楽の高揚には驚かされます。