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2005.08.30

【レビュー】ヴァント&シュトゥットガルト放送響のブルックナー「第9番」

wand_ottobauren

曲目:ブルックナー:交響曲第9番ニ短調
演奏:ギュンター・ヴァント指揮シュトゥットガルト放送響
(1979年6月24日 オットーボイレン、バシリカ聖堂オットーボイレン修道院 大聖堂[→9/26追記:※1]でのライブ録音)

 聴き進むうちにブルックナーの深淵にどんどん吸い込まれていくような、そんな強い求心力を持った演奏です。このことはヴァントのブルックナー演奏を聴くといつも感じることではあるのですが、今回リリースされた1979年のライブは晩年の演奏と較べてより「熱」を帯びていて、肉感的ですらあります。ヴァントが晩年よりも早めのテンポを取っていて、その結果推進力を音楽に与えているのです。第1楽章での奔流のようなクライマックスは圧倒的ですし、第3楽章の(9'35"過ぎからの)低弦に導かれる突然の音楽の高揚には驚かされます。

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2005.08.24

流体力学的なピアノ

 最近異形の楽器の発掘・紹介に情熱を傾ける私、「坂本くん」が、ギター演奏機(1号店・7月12日付のエントリ)、ペダル付きピアノ(当ダイアリー・7月30日付けのエントリ)に続いてお届けするのは、風変わりな格好のピアノです。早速写真をどうぞ。

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2005.08.21

韓流ホラー映画「チェロ」

 皆さんは韓国映画はご覧になりますか?私は元々そんなに熱心な映画ファンではないもので、TSUTAYAで「JSA」「シュリ」「ブラザーフッド」とかのDVDを借りてカミさんと一緒に見る程度なのですが、韓国映画といえば以前映画館で公開されたホラー「ボイス」のCMでの少女の三白眼がとても恐かったですね(笑)。そんな韓国ホラー映画の最新作「チェロ-ホン・ミジュ一家殺人事件」(→公式サイト)が韓国で現在公開中だそうです。

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2005.08.19

旧ソ連の2大提琴巨匠を聞き比べ

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 木嶋真優やセルゲイ・ハチャトゥリアンの演奏で何度もショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番」を聴いているうちに、別の奏者による演奏も聴いてみたくなりました。そこで押入れにあるCDの沢山入った段ボールからオイストラフ(写真左)とコーガン(同右)のCDを引っ張り出して聴いてみましたが、やはり予想通りといいますか、この両巨匠はすごいですね。音に「風格」があるというか、存在感が傑出していますし、演奏解釈も一本スジの通ったものを感じさせます。しかしこの両者の弾きっぷりは相当異なっていて、そのあたりがなかなか興味深いところです。

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2005.08.16

iTunes Music Storeのクラシック音楽

iTunes_Logo2 今月4日に始まった「iTunes Music Store」日本語版(以下iTMS-J)ですが、クラシック音楽はカラヤンとかアバドなどのタイトルが数点ずつ、あとは売れ線の美人アーティストやコンピレーションものが幾つか揃って、全部で40~50タイトル、というのが私の事前の予想でした。しかしメジャーからの参加がユニヴァーサル(DG、デッカ、フィリップス、マーキュリー、ウエストミンスターなど)と東芝EMIだけ、と言う割には相当数のタイトルが揃っています。ちゃんと数えた訳ではありませんが、ざっと1000タイトルくらいはありそうです。まあ少し大きな外資系CD店ならクラシック音楽は2~3万点は揃っているでしょうから、それと比較するとまだまだです。「地方にある、少しクラシックが置いてあるお店」のようなイメージでしょうか。ちなみにカラヤンは96点(→リンク)。ちゃんと「アダージョ・カラヤン」(→iTMS)も置いてあります。

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2005.08.09

iTunes Music Store 日本でも開始

iTMS-J 「ようやく」といっていいでしょう。アップル社の音楽配信サイト「iTunes Music Store」日本語版(以下iTME-J:写真)が今月4日オープンしました。同サイトは8日までの4日間に既に100万ダウンロード達成、という実績を上げており、最後発の音楽配信サイトであるにも拘わらず既に業界トップの人気を得ています。
 さてこのエントリでは、iTMS-Jリリースまでの経緯について説明します。すでに音楽業界の動きに詳しい方には旧知の事実かもしれませんが、「音楽」といえばLP、もしくはCDでのみ楽しまれる方の多いクラシック音楽ファンに、iTMS-Jオープンの意義を知って頂くために必要だと考えたからです。

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2005.08.03

【レビュー】石坂団十郎のデビューCD

danjulo

1.メンデルスゾーン/チェロソナタ第2番ニ長調 作品58
2.ブリテン/同ハ長調 作品65
3.フランク/ヴァイオリンソナタイ長調(チェロ版)
演奏;石坂団十郎(チェロ)マルティン・ヘルムヒェン(ピアノ)
(Sony Classical, SK 93866, ASIN:B0009NDHLM)

 1976年にドイツで生まれ、最近日本でも演奏活動を行うようになった石坂団十郎。日本のテレビ番組にも登場しましたし、今年5月の「1000人チェロ」コンサートにも参加していました。演奏会前のパーティでは、彼の回りにサインを求める女性たちの輪が出来ていました(確かに同性の私から見ても、彼はなかなかの男前でしたよ)。そんな彼のデビューCD(→amazon.dehmv.co.jp@tower.jp)を聴いてみました。彼のチェロの音色は伸びやかで、さらに雄大さと明朗さを併せ持っています。CDに収録された作品はどれもかなりの難曲ですが、そんな作品でみせるテクニックは確かで余裕すら感じます。メンデルスゾーンでのすがすがしさの中に秘めた熱気、ブリテンでの表現の幅の広さと器用さ、フランクのソナタでのダイナミックな響き、どれも平均以上の出来映えを示しています。私はそんな隙の無さがどこかヨー・ヨー・マっぽいな、と思ったりもします。それからピアノのヘルムヒェンも音楽を創る力のある、かなりの実力を持ったピアニストだと感じました。ピアニストもこれからの注目株かもしれません。

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2005.08.02

若きソリストたち

Khachatryan 先日行われたエリザーベト国際コンクールで第1位となったセルゲイ・ハチャトゥリアン(1985年生まれ:写真)が「BBCプロムス」にソリストとして登場しました。曲目はショスタコーヴィチの「ヴァイオリン協奏曲第1番」、共演はワシリー・シナイスキー指揮BBCフィルハーモニックです。公式サイトからのオンデマンド(→ここ)で聴いてみましたが、33kbpsと低品質の音のクオリティながら彼の音楽性は十分に伝わってきました。第1楽章の夜想曲の寒々とした静寂の雰囲気の表現は見事ですし、第2楽章やフィナーレは19歳らしい躍動感があり、時折ワイルドさも感じました。まさにCMのコピーではないですが「元気ハツラツ」といった印象です。

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