ペダル付きピアノ
ペダル(またはペダルボード)の付いたピアノがあるということ、そしてアルカンがペダル付ピアノのための作品を書いた、という事実は耳学問で知ってはいたものの、実際ペダル付きピアノがどういうものなのか、実物を見たことがないもので正直イメージが湧かず、ただなんとなく「昔はそんな楽器もあったんだね」という程度にしか思ってませんでした。ところがblog「The Well-Tempered Blog」によると、なんと現在でもペダル付きピアノを製作しているピアノ工房があるというのです。その会社はイタリアにある「BORGATO」というブランドなのですが、とりあえず写真からご覧下さい。
なかなかインパクトあふれる外観ですね。
このBorgato社の「DOPPIO BORGATO」は、普通型のコンサート・グランドピアノと、その下に設置されたペダル付きピアノの2つで構成されています。下のペダル付きピアノ(P402)には鍵盤は37あり、3オクターブの音域をカバーしますが、音程は「A 27,5 Hz – A 220 Hz」ということで、オルガンのペダル部と同様、低音域専用ということのようです。上のグランドピアノ「L 282」と、ペダル付きピアノの両方に機能するダンパーペダルも付いているそうです。
同社の公式サイトによると、アルカン以外にもリスト、シューマン、サンサーンスやグノーといった大家たちもペダル付きピアノのために作品を書いています。そしてモーツァルトもペダル付きピアノを所有していて、彼の「ピアノ協奏曲第20番」の自筆譜の中には、ペダル付きピアノで低音を補足していることが示唆される箇所があるとの事です。
ともあれこの楽器の音を聴いてみたいのですが、Borgato社には残念ながらmp3やwmaなどのサウンドファイルは用意されていません。ということでもしこの楽器に興味を持たれたピアニストや音楽関係者がおられましたら、ぜひこの楽器の演奏にトライして頂きたいです。特に今年5月にシューマンのペダル付きピアノのための作品「カノン形式の練習曲」を演奏したレイフ・オーヴェ・アンスネス(※1)には是非オリジナルのスタイルでこの曲を弾いて頂きたいな、と思います。
(※1)カーネギーホール内、ザンケル・ホールで、アンスネスはHåvard Gimseと共に、ドビュッシー編曲による二台ピアノ版でシューマンの「カノン形式の練習曲」を演奏しました(→参照)。
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Comments
ということで、楽器的な珍し系かつエキセントリックな演奏ですが、音楽的にはきわどい人がキワモノを弾くという次元から大きく逸脱していません。
Posted by: russische frau | 2011.05.20 19:48
あ、そうなんです、はてなに引っ越しました。過去ログもうすぐ移動終わります。
ということで、楽器的な珍し系かつエキセントリックな演奏ですが、音楽的にはきわどい人がキワモノを弾くという次元から大きく逸脱していません。
Posted by: ふげつ | 2005.09.19 01:37
ふげつ様によるJean Guillou盤のレポがupされてますね↓。
ttp://d.hatena.ne.jp/fugetzu/20050901/p1
それにしても、ふげつ様もはてな村の住民になられたのですね。
Posted by: 「坂本くん」 | 2005.09.17 14:44
こんばんは。
>独ARS PRODUKTIONからも出るようですね。
情報ありがとうございます。このCDはついさっき「アリアCD」にオーダーをしたところです。独ARSのは古楽器を使用してるようですね。ジャン・ギューのはジャケ写からはメーカーは判別できませんが、モダン・ピアノのようですので、両方揃ったら是非聞き比べてみたいものです。
Posted by: 「坂本くん」 | 2005.08.16 23:32
独ARS PRODUKTIONからも出るようですね。
http://www.jpc.de/jpcng/classic/detail/-/hnum/6184137/rk/classic/rsk/hitlist
ジャケ写があったのでjpcのリンクを貼りましたが、価格は国内ショップの方が安そうです。
アリアCDのインフォによればプレイエル(1847年)を使っているとのこと。
ギユーのはBORGATO社の楽器なんでしょうか?
Posted by: roi ubu | 2005.08.15 23:30
こんにちは。
情報ありがとうございます。このCDの存在は知りませんでした。早速オーダーしてみます!。
Posted by: 「坂本くん」 | 2005.08.14 17:56
この楽器をオルガニストのジャン・ギユーが弾いた録音がありますので、ご紹介しておきます。
http://jeanguillou.artistes.universalmusic.fr/Discographie_de_Jean_Guillou/472_364-2/472_364-2.html
Posted by: ふげつ | 2005.08.12 22:27