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2005.07.14

BBCがレコード産業の攻撃に晒される

 先日BBC(英国国営放送)が自サイト内でベートーヴェン作品の期間限定ダウンロードサービスを行った、というニュースをお伝えしましたが、100万ダウンロード以上という実績を上げ、ユーザーから好評をもって迎えられたこのサービスに対し、レコード会社側がいちゃもんクレームを付けました。
 「インディペンデント」紙によると、レコード会社は「BBCは不公正な競争を仕掛けている」と主張しています。NAXOSレーベルのAnthony Anderson氏は「公共放送がこのようなことをすることは私には疑問です。この行為は価値ある音楽の値打ちを損なうものです」と述べています(参照)。かつて激安CD路線でメジャーレーベルから「レコード産業の破壊者」と名指しで批判されたナクソス・レーベルの関係者からこのような発言が出たこと自体、個人的には驚きなのですが、BBC側は既にこれ以上ダウンロードサービスを行わないことを明言し、結果的にレコード産業からの要求に屈した格好となりました。
 この事態にはレッシグ教授も頭を抱えています(この公式サイトの写真はいつもとおんなじものですが:苦笑)。このサイトの同じエントリの、英語版のコメント欄には、ダウンロード反対派からの「広く一般大衆から集めたお金を使って、BBCは民業を圧迫するようなことをしてはいけない」という書き込み、そして賛成派からは「受信料を払っているリスナーが、それに見合うサービスを受けていると考えればOK」などといった意見が寄せられています。
 私ですか?当然BBCのダウンロードサービスは諸手を挙げて賛成ですよ。このサービスが無くなったからといって、サイモン・ラトルのベートーヴェン全集の売れ行きが急激に伸びるという訳じゃないのにね。
(なおこの情報をご教示頂いた望岳人様には、この場を借りて御礼申し上げます。)

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Comments

こんにちは。
メジャーレーベルに関しては、クラシック音楽に対するモチベーションが明らかに下がっていますからね。クレームを付けるのなら、ノセダ&BBCフィルの音源をCD化すればいいと思うのですが、そんな話もないみたいですし。
また今回のケースはBBCのような公共放送でしたが、自らの演奏を収録した音楽ファイルを公開している演奏家の個人サイトは世界中にたくさん存在します。そんなサイトに対してもレコード会社から公開を止めるようにという圧力が掛かるのでは、と心配しております。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.07.20 06:02

望 岳人さんの所から回ってきました。

「サイモン・ラトルのベートーヴェン全集の売れ行きが急激に伸びる」ような状態で、投資意欲や制作意欲があるならば問題ないのですが。

Posted by: pfaelzerwein | 2005.07.20 01:13

こんにちは。
あのBBCのダウンロードサイトにはものすごい数のアクセスがあったわけですが、この事実から「ベートーヴェンを聴きたい。でもCDを買ってまで聴こうとは思わない」という方々がいかに多いかを実感しました。
でもBBCの放送音源をネットでupさせるかどうかを決めるのはあくまでもBBCであって、レコード会社がとやかく言うべきものではないと思うのですが。というかそのうちradio 3のライブオンエアにまでダメ出しするかもしれないし。う~ん、困ったものです。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.07.15 06:05

こんばんは。
ダウンロードは、しなかったけれど
一週間限定などのストリーミング配信を
とーっても活用してるのでBBCには、感謝
感激雨あられなんですが(古いですねえ)

BBCには、感謝をしてるのでプロムスの
ガイドとCDを買うことで感謝の気持ちを
表してる1ファンですが・・

ダウンロードの事を批判する事・・
残念です・・。

Posted by: dokichi | 2005.07.15 00:25

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Tracked on 2005.07.20 01:00

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