「アイデア」誌最新号
まず取り上げられているのはECMレーベル。このレーベルのジャケットの独自性と、クオリティの高さはもう言わずもがなでしょう。1996年にこのレーベルのジャケ写ばかり集めた写真集「Sleeves of Desire」(現在は残念ながら絶版)が出ていましたが、今回「アイデア」誌では1997年から現在までのタイトルから数十点を紹介しています。この中で個人的に気に入ったモノを、当ダイアリーではハイパーリンクで紹介します。
●ケージ:The Seasons マーガレット・レン・タン(プリペアド・ピアノ、トイ・ピアノ)デニス・ラッセル・デイヴィス指揮アメリカン・コンポーサーズ・オーケストラ
●シルヴェストロフ:メタムジーク他 リュビーモフ(ピアノ)デニス・ラッセル・デイヴィス指揮ウィーン放送響
●ベリオ:Voci カシュカシアン(ヴィオラ)デニス・ラッセル・デイヴィス指揮ウィーン放送響他
●マイケル・ガラッソ:High Lines
この後「アイデア」誌は、杉浦康平氏と美登英利氏という、2名の日本人のデザイン作家を特集しています。前者は1960年代から日本人作品のレコードジャケットを担当されておられる方です。彼の仕事で一番有名なのは右手の絵が印象的な佐藤聡明の「マントラ」でしょうか。一方後者は民族音楽や邦楽関係のジャケットの仕事が多い方ですが、キングレコードの「伊福部昭の芸術」シリーズも手がけておられます(→参照:伊福部昭の芸術(7))。
上記の両氏はともにデザインの専門家ですが、彼ら以外にも「デザイン」誌では意外な人物をフィーチャーしています。それはカールハインツ・シュトックハウゼン氏(→公式サイト)です。彼は自分の作品のCDを自主製作レーベルでリリース(→カタログはこちら)していて、それらのジャケットデザインを全て手がけていることで知られています。しかしあの一見やる気のないように見えるオール手書きのデザイン、率直に言ってデザインとしては正直どうなんでしょう。「解る人には解る」デザインとはいえますが。しかしあの珍妙なジャケットも利点があります。同じようなデザインのジャケットや背表紙が並ぶ店頭ではメチャメチャ目立つのです(笑)。
ただ彼自身は「アイデア」誌に寄せたコメントで私の浅はかな愚見を一蹴します。ここでは引用は致しませんが、あの無秩序に見えるジャケットの全てが音楽に関連していて、音楽そのものを視覚化したものであるというのが彼の主張です。そのコメントを見た後でジャケットの数々をまとめて見ていると「まあこういうのも悪くないかな」という気になってしまうから不思議です(笑)。
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