【レビュー】ハンス・ファユスのバッハ:オルガン曲全集(SACD)
(曲目についてはBISレーベルの公式サイトをご覧下さい)
前回のエントリは「6枚組で100曲収録」というのがウリのオムニバスものでしたが、今回紹介するのはバッハのオルガン曲ばかり(総トラック数は370!)を収録したBOXセットです。この録音はBISレーベルの草創期に行われたものですが、今回はリニアPCM方式で記録されたマスターテープをDSD方式に変換し、大胆にも5枚組SACD、全て2chステレオという形式での再発売です。この演奏については同内容のものがブリリアント・クラシック・レーベルから17枚組CD(Cat.#:BRL92216)で出ています。これは私の手許にないので音質比較は出来ませんが、「実際に比較して聴いてみました」と仰るCD店のスタッフからは「やはり音が違いますよ」という回答を頂いています。私が耳にした印象でも、リアリティに富む量感ある音はかなり良好なものに感じられました。こうやって聴くと改めて「このころのBISレーベルの音は良かったなぁ」との感を強くします。現在でも録音は悪くはないのですが、カタログ番号が3桁くらいまでのBISの録音には独特の「音圧」と、これまた独特の「空気感」があったような気がするのです。
さてなにしろ大部なので、私はまだ全曲制覇には至っていません(笑)。いまのところは有名曲数曲しか押さえてませんが、演奏解釈は古楽のスタイルを踏まえた妙味溢れるものです。そしてコープマンのようにはしゃいだところがなく、全体的に実直な印象を受けます。これが個人的には好感触です。なおオルガンはコーアトーン(現在のA-440よりも高めのピッチ)に調律されたものも含め数種を使用しています。
希望のトラックを頭出しするのが面倒な点が玉にきずですが(笑)、価格がCD二枚分という割安感の高いアイテムですので、SACDプレーヤーをお持ちの方なら1セット入手されてはいかがでしょか。全トラックを制覇すれば(少なくとも「ベスト・クラシック100」よりも)「クラシック作品を聴いた」という充実感も得られるのではないでしょうか。
(BIS, SACD-1527/8, ASIN:B0009MZ5S6)
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