音楽家の歴史的資料が一斉にオークションに
Alex Ross氏のブログ「The Rest Is Noise」によると、今月20日にサザビーズで楽譜の原稿、書簡といった歴史的資料186点が一挙にオークションに掛けられるそうです。今回の出品で扱われる作曲家たちのラインアップはモンテヴェルディから現代の作曲家ヘンツェまでという幅広いもので、その内容も興味深いものが並んでいます。出品物についての簡単な説明は写真付きでサザビーズのサイトで見ることができます。
自筆譜・楽譜原稿では、ベートーヴェンの「八重奏曲」(Op103)、ブラームスの歌曲「雨の降る間」、ヘンデルの未知のオペラ・アリア(「エツィオ」からの改作と思われる)、リストの「ハンガリー狂詩曲第9番」、ラヴェルの「クレマン・マローの2つのエピグラム」、シューベルトの「ヴァイオリンソナタ ニ長調」(D384)、シューマンの「交響曲第2番」(第1楽章のスケッチ)、シベリウスの「夜の騎行と日の出」、ウェーバーの「ピアノ協奏曲第2番」などが出品されます。また古い出版譜にはモンテヴェルディの「マドリガル集第7巻」、バッハの「イタリア協奏曲」(BWV971)などの珍しいものも含まれています。
一方書簡ではジュルジュ・サンドがリストに宛てた手紙、ブラームスが自作「ヴァイオリン協奏曲」の冒頭の4小節を添えて若きフーベルマンに送った手紙(写真)、シェーンベルクが1902年に書いた窮状を訴える手紙、バルトークか1945年(彼の没年)に「管弦楽のための協奏曲」の件で出版社ブージー&ホークス社へ送った手紙に交じって、何とワーグナーが「あの」ハンスリックへ送った手紙もあります。ここにはハンスリックの「タンホイザー」への好意的なレビューに対する謝意が綴られているということです。後に袂を分かつ両者ですが、少なくともこの手紙が書かれた1847年1月まではお互いに友好的な関係だったことが伺えます。
R・シュトラウス研究家や愛好家の方々には「ダフネ」のリブレットが興味深く感じられるのではないでしょうか。台本作家ヨゼフ・グレゴールのタイプした原稿の横に作曲家自身が音符を書き足したもので、R・シュトラウスの作曲過程を知る上で重要な資料となりそうです。
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