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2005.05.25

1000人チェロの話題を続けて

 5/21(土)は初めて奏者全員が会場に集合して練習を行いました。1000人全員が初めて一斉にフォルテで弾いたときに四方から感じた、これまで一度も経験したことのないような音圧は今でも忘れられません。私が「この響きを経験した10代や20代のアマチュアなら感動の余り『チェロを弾く仕事に就こう』と人生設計を考え直す人が出てくるかもしれないな」と思った位強烈なものでした。残念ながら私は人生を変えるには年を取りすぎたようですが(笑)。さてこの日はロストロポーヴィチ氏に加え大友直人氏からもご指導を受けたのですが、両氏の指揮者としての性格はかなり異なっていて、その好対照ぶりがなかなか面白かったです。

 ロストロポーヴィチ先生は「指揮を見るように」、そしてテンポの微妙な変化に対応するため「常に指揮台を注視するように」と何度も指示しておられました。確かにテンポは曲想に応じて微妙に早くなったり遅くなったりと揺れるので、当て推量で弾くと1人だけズレてしまいます。そんなわけで1000人の奏者全員が自ずと指揮者の右手(今回ロストロポーヴィチ先生は指揮棒を持ちませんでした)の動きに集中するようになり、時間が経つにつれ指揮者の意図通りに音楽がスムーズに運ぶようになっていきました。先生が指揮された3曲はどれも起伏に富んだダイナミックな仕上がりで、単調な音符の繰り返しの「フラトレス」ですら交響詩のような劇的音楽になりました。

otomo 一方大友先生(左)はインテンポを確実に、丁寧に刻んでいきます。そして各声部のバランスや強弱に配慮するように、という内容の指示が多かったです。アドバイスは簡潔かつスマートで、練習は流れるように進行します。そのせいか生み出される音楽もシャープで流れるような仕上がりになっていきました。個人的にはフンクの「組曲」のきびきびとした造形に好感を持ちました。
 ところで今回の演奏会は日本人以外のメンバーもたくさん参加されていたため、ロストロポーヴィチ先生だけでなく大友先生も英語で指導されていました。午前の練習では日本語と英語が半々だったのですが、夜の部になると95%は英語になってました。でも参加者全員ちゃんと英語で指示された箇所から弾いていました。そんなところからも「1000人のアンサンブルが一体になっていっているなぁ」と感心することしきりの「坂本くん」でした。それからこれは特筆すべきことなのですが、大友先生の英語はロストロポーヴィチ先生より上手でした。
 さて強いスラブ訛りのロストロポーヴィチ先生でしたが、ゼスチュア込みの指導振りは実に熱のこもったものでした。しかし先生のアドバイスは厳しくもユーモアを込めた温かいものでした。ダヴィドフの「賛歌」のある箇所でメロディーを担当するパート(しかもそのパートは名手揃いだったのですが)に対して、

rostro

 「君たちは若いのに、どうして年金生活者が弾いてるみたいな音を出すんだ!」

 と言いながら老人が吐息をする仕草をすると会場全体が笑いに包まれました。
 5/22(日)の本番で私は「とにかくズレないように」と指揮とにらめっこしながら体で拍子を取っていました。とにかくズレないで演奏することに必死になっているうちに終わった、という感じでした(笑)。疲労困憊の私は本番後は余韻にひたることなくそそくさと会場を後にしたのですが、日が経つにつれて「僕って凄いところに居たんだなぁ」という実感がじわじわと湧いてきているところです。

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Comments

> 坂本 さま、
母は多分そうだと思います。ボランティアスタッフでしたが、ずっと受付を主にしていたようです。二番目の妹はちょうどカナダから帰ってきたので、通訳スタッフをしていたようです。父は今回が二回目の参加だったのですが、憧れのロストロやシュタルケルに囲まれて、きっと幸せだったと思います。もしカザルスが生きてここにいたら、父は最高に幸せだったと思います。大変失礼しました。R

Posted by: Rintaro | 2005.06.04 00:28

Rintaro様こんばんは。いつも拙ブログを拝見頂き、誠にありがとうございます。
>母が受付をしており、父がチェロで参加させていただいていました。
そうでしたか。ひょっとしたらどこかで私はRintaro様のご両親とお会いしていたかもしれませんね(笑)。ところで失礼ですが、お母様はICCのスタッフとして活動されておられたのでしょうか。もしそうでしたら、今回のイベントでの事務局のスムーズな運営には本当に感心させられましたので、その旨よろしくお伝え下さいませ。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.06.03 23:32

> 坂本 さま、
はじめまして。以前からブログを時々拝見していましたが、何と!1000人のチェロに参加されていたのですね。
母が受付をしており、父がチェロで参加させていただいていました。
同じ場所で一つの心になって演奏している風景、息子としてとても嬉しく思っていました。
先刻、母よりその時の写真が届きました。坂本さんの写真と併せて、とても嬉しかったです。
ブログ日記、これからも楽しみに拝見します。R

Posted by: Rintaro | 2005.06.03 23:14

深良マユミ様こんばんは。
現場では両マエストロのご指導についていくのがやっとこさの状態でしたが、今改めて振り返ると身震いがしそうです。本当に良い思い出になりました。
ちなみにこの写真、私のカミさんが撮影したものです。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.05.25 22:21

坂本さま
すばらしい場所でチェロをお弾きになれてよかったですね!!私も見たかった、話を聞きたかった、ロストロポ−ヴィチせんせ〜い!!
この写真も臨場感あふれていていいですね。

Posted by: 深良マユミ | 2005.05.25 22:07

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