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2005.03.03

【演奏会レポ】江口玲・ピアノリサイタル

 江口玲のピアノリサイタルが「栗東文化芸術会館さきら」(小ホール)で先週末(2/27)にあったので、カミさんと2人で行ってきました。1回のコンサートで色んなピアノ音楽の楽しみが味わえて私はすっかりお腹一杯、大満足でした。風邪気味だったカミさんは気分を良くしたせいか「風邪が治った」と言ってました(笑)。

 冒頭のラフマニノフの2曲ではコントロールの利いた中声部が印象的な1曲目と、華やかで豪放な2曲目が好対照でしたが、何よりその後のムソルグスキー/ホロヴィッツの「展覧会の絵」が圧巻でした。最初のうちは背筋を立てて聴いていたのですが、あまりの凄まじい気迫に押されてしまい「バーバ・ヤガー」の辺りで私はイスにヘナヘナ~~とへばり付いてしまいました。このアレンジは編曲した当人のレコードで知ってはいましたが、実際ライブで聴くとこの版のグロテスクさ、えげつなさがモロに迫ってくるので完全にノックアウト寸前でした。猛烈な打鍵は見ていても痛快でした。ただテクニック的な乱れはなかったので、荒れた演奏という感じは全く感じなかったです。とにかく鳥肌モノの超絶技巧の連続で、聴いている私もアドレナリンが出てきたよーと思う位興奮しました。
 前半はそんなわけですごい緊張感を味わったのですが、後半は一転して軽妙なトークが曲間に入るリラックスできる構成になっていて、正直ホッとしました(あの調子で後半もいってたら私ホントに倒れてたかも)。演奏曲目にはアメリカの愛唱歌のトランスクリプションもあって、これらの旋律に耳慣れない聴衆がいきなりこういった曲を聴いても、なかなか曲に入り込めないでしょうから、トークで19世紀の南部の風景を観客にイメージさせた後で演奏を始めるという趣向は良かったと思います。「ポーギーとベス」組曲にはさりげない超絶技巧があちこちに散りばめられていましたが、この譜面をまさに「さりげなく」、そして音楽的に表現している江口さんの演奏は見事でした。最後の「ラプソディー・イン・ブルー」は華麗かつダイナミックに決まってました。
 ところで「さきら」といえばファツィオーリ社製ピアノですが、この日の江口さんもファツィオーリで演奏されてました。リサイタルが始まる前に照明が落とされ、ピアノの辺りだけが照らされた時の、黒とも赤ともつかない色で独特の輝きを放つ様は存在感抜群でした。勿論実際の音も魅力的でした。演奏後のトークで江口さんは「中音域にまろやかさがある」と評されていました。そしてトーク終了後ピアノの周りには、まるで名残を惜しむかのように人だかりが出来ていました。
 最後にはお疲れのところ申し訳ない、と思いつつ持参したCDにサインをして頂きました。私の前後にもたくさんの方が並んでおられたのですが、一人一人に誠実に応対されている様子からは江口さんの人柄がにじみ出ているようで好感を持ちました。さて江口さんの今後の演奏会は東京方面では4月の連休の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」に出演されます(※1)し、6/29(水)には浜離宮朝日ホールでオール・アメリカ・プログラムの演奏会もあります。首都圏在住の方は如何でしょうか。

<<プログラム>>
1.ラフマニノフ:悲歌 変ホ短調 0p3-1
2.同:道化師 Op3-4
3.ムソルグスキー(ホロヴィッツ編):展覧会の絵
4.マナ=ズッカ:ディキシー
5.フォスター(江口玲編):金髪のジェニー
6.ガーシュウィン(同編):「ポーギーとベス」組曲
7.同(同編):ラプソディ・イン・ブルー
8.<アンコール>シューマン:トロイメライ

(※1)江口さんの出番は以下の通りです。
●4/29(金・祝)10:00-(ピアノソナタ第1番:ホールB7)
●4/30(土)10:00- (ピアノソナタ第14番「月光」&第24番、ツェルニー:フィガロの結婚の主題による華麗な幻想曲:ホールD7)
●5/1(日)19:30- (ヴァイオリンソナタ第2番&第9番「クロイツェル」、共演:渡辺玲子:ホールD7)

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