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2005.03.18

痛みを伴う改革

 新音楽監督ジェームス・レヴァインを迎えての最初のシーズンとなるボストン交響楽団ですが、地元紙のレビューは概ね好評で、まずは掴みはOK、といったところのようです。ところで今シーズン開幕当初から地元では「レヴァインの演奏会は長い」、そして「リハーサルもみっちり行う」ことが話題となり、新音楽監督を迎えて楽団員の仕事は以前よりハードになっているようです。

 リハーサルの回数については、昨シーズンは104回だったのが、今シーズンは118回と増加しています。通例はリハは週あたり4回なのですが、レヴァインの場合プログラムによっては週6回、時には週7回行うこともあります。この点についてフルート奏者のFenwick Smith氏は「オーケストラは最近数年間と比較して芸術的に高いレベルに達していると思う。レヴァインと仕事しているときは『一生懸命やろう』という意識が強い」と語っていて、団員は協力的なようです。
 しかし弦楽奏者の中には手の痛みを訴えるものが増加し、そのため6人が休養を余儀なくされています。「丁度バイオリンを抱えるときの姿勢を取ると手首から肘にかけて激痛が走るようになった」と語るBonnie Bewick氏は「レヴァインは素晴らしいミュージシャンで、彼の言うとおりにするとうまく事が運びます」と音楽監督を擁護しつつも、演奏家の負担を和らげるためには「日程とプログラムの問題は重要です」と話しています。Sheila Fiekowsky氏は、レヴァインの過密スケジュールに備えてボストン響以外の仕事を入れないようにしましたが、シーズンが始まると鎮痛剤を服用しながら仕事をしていたそうです。
 楽団員は先日レヴァインに対しコンサート・プログラムを短縮するよう申し入れ、レヴァインも同意しました。昨日の演奏会ではバッハの前奏曲がプログラムから削除され、来シーズンは「奏者の負担を減らすため」という理由で、シューマンの「交響曲第2番」を、負担のより少ない同じ作曲家の「交響曲第4番」と入れ替えることも決まりました。
 痛みを取るためのケアは休息の確保だけに留まりません。今夏のタングルウッドに、ミネソタ管弦楽団のチェリストで、音楽家が罹りやすい痛みについても詳しいJanet Horvath氏を招き専門的な意見を聞く予定にしています。Horvath氏はタングルウッドで痛みを軽減するための装具やストレッチ体操などを紹介する予定です。音楽家も肉体労働者ですから、スポーツ界のように理学療法士などの専門家が演奏家のケアにあたる方がいいのになあ、と個人的には思ったりしてたのですが、アメリカでは上記のような医学的なアプローチが始まっているようですね。

(参考)
csmonitor.com. Boston takes the measure of its maestro (March 11, 2005)
PlaybillArts. Aching Boston Symphony Musicians Ask Levine to Ease Workload (March 17, 2005)
Boston.com. Levine's pace proves hard on BSO (March 17, 2005)

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Comments

ボストン響でも「さまよえるオランダ人」を取り上げてますし、ほんとに精力的ですね。きっと見えないところで様々な努力をなさっているのでしょうね。
ところで来年のメト来日公演、3演目全部ジミーじゃないですか!私が言うのも何ですが、お体には気をつけて、お大事に、と一声かけたい気分ですね。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.03.26 at 08:50

コメントをありがとうございました。TB先にも書きましたが、出入りの歩みのしんどさや、椅子に座ってもほとんど動かない棒に、ともかく驚いてしまいました。でも、音楽は「パルジファル」だったこともあり、遅いテンポではあったものの非常に中身の充実した、いい音楽を味わえました。来年、METと来日が予定され、ヴァルキューレを振る(ポラスキがブリュンヒルデ!)というのですが…。

Posted by: じぃ。 | 2005.03.25 at 08:38

こんばんは。
最近のレヴァインは、本番では腰を下ろして指揮していますが、この奮闘ぶりを見ると病気は小康状態なのかもしれませんね。最近はいろんなお薬があるようですから。
私の方からもトラバを返させて頂きます。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.03.23 at 21:48

こんにちは。ジミー、そんなにリハを実施して大丈夫なんでしょうか。一応じぃのBlogの関連記事とTBさせていただきます。宜しくお願い申し上げます。METも2011年まで契約延長のようですし。

Posted by: じぃ。 | 2005.03.23 at 19:26

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