フランス警察がドイツ人指揮者を逮捕
先週Volker Hartungの指揮するThe New Philharmonia of Cologneが演奏会の会場で強制捜索を受け、楽団員15人が不法就労の疑いで仏警察に逮捕・監禁されました。また指揮者も逮捕されましたが、保釈金を払ったのち釈放されました。警察の調べでは「この指揮者は1人1日当たり30ユーロ(約4100円)という低賃金で、主に東欧出身の演奏家をヨーロッパ各地に演奏旅行をさせていた」といいます。現在指揮者は暫定的に仏国内での演奏が禁じられています。
今のところ楽団側は「うちは演奏家にはもっとたくさん払っているし、東欧人ばかりというのもデタラメ。逮捕された中にはオーストラリア人もいる」と容疑を否認しています。しかしどうやらこの楽団、元々警察に目を付けられているようで、強制捜査は去年10月に続いて2回目だといいます。ドイツのオーケストラの組合幹部によるとこの管弦楽団は「人件費のかかるドイツ人演奏家を雇わず、オーケストラ・コンサート1回あたりのギャラを(一般的な相場では12000ユーロのところを)1500ユーロに押さえていた」といいます。
さてこのThe New Philharmonia of Cologne(ケルン新フィルハーモニー)という聞き慣れない団体は普段どんな活動をしているのでしょうか。公式サイトもあったようですが現在はリンク先を辿ることは出来ません。しかしここ(英語)から大まかなプロフィールを知ることが出来ます。どうやら欧州各地、特にフランスやスペインを頻繁に演奏旅行し、それが主な演奏活動としているようです。レコードもこれまで45枚出しているそうです。Hartung氏については「ヴィオラをギンゴールドらに、指揮をチェリビダッケらに師事」とあります…。
そして彼らの演奏を体験した日本人がいました!「えげれす草紙」の中にある日記によると、このサイトの管理人がツアーガイドのバイトの仕事でバルセロナに立ち寄ったとき、この楽団員によるコンサートに出くわしたそうです。この団体、こういう観光客相手の仕事を数多くこなしているのではないでしょうか。
(参考)
Guardian. France arrests German conductor at concert (March 1, 2005)
Kölner Dirigent in Frankreich unerwünscht(Deutsch) (February 26, 2005)
Kölner Stadt-Anzeiger.Bühnenverbot für Kölner Dirigenten(Deutsch) (February 26, 2005)
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