2005.03.30


<CD1>
1.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007
2.同/同第3番ハ長調BWV1009
3.同/同第5番ハ短調BWV1011
<CD2>
4.同/同第4番変ホ長調BWV1010
5.同/同第2番ニ短調BWV1008
6.同/同第6番ニ長調BWV1012
演奏:鈴木秀美(チェロ)
1995年の録音から10年をおいてのバッハ「無伴奏」の再録音。鈴木さんご本人も「こんなに早く再録できるとは思っていなかった」とライナーノートに書かれておられますが、たしかに私も発売のプレスリリースを見たときは「あれ?」と意外な印象を持ちました。このディスクを手にするまでは「ビルスマみたいに楽器を替えて録音でもしたのかな?」と思ってたのですが、どうやら前回と使用楽器は同じもの(胴体の装飾が美しい1570年頃のアマティ)のようです。となると10年前と違う部分がどこにあるのか、前回録音と比較したくなるところですが、最初のうちは敢えてそれをせずに聴いてみることにしました。
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2005.03.29
幼稚園児からおじいちゃんまで、ニートからお金持ちの社長まで、誰も彼もブログを持つ時代ですが、クラシックのアーティストのブログも最近増えてきましたね。そしてみなさん面白い文章で私たちを楽しませてくれます。昔から「優れた音楽家は文章もうまい」と言われていますが、これはブログにも言えることかも知れません。
ところでシアトル交響楽団(SSO)のコンサートマスターを20年間務めたフィンランド出身のヴァイオリニスト、Ilkka Talvi氏のブログ(英語)が英語圏で話題になっています。このサイトは今月20日に開設されたばかりなのですが、その過激な内容で地元の音楽関係者は戦々恐々です。ここのブログのエントリのあちこちにはSSOの音楽監督のジェラード・シュワルツを始めとする地元音楽界に対する批判が、まさに情け容赦なく展開されています。
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2005.03.28
当ダイアリーの昨年6月24日付のエントリで触れた、太りすぎが祟って「ナクソス島のアリアドネ」の主役降板の憂き目にあったあのソプラノ歌手が、なんと一念発起してダイエットのために消化管のバイパス手術を受け、その結果約100ポンド(約45キログラム)の減量に成功したことを関係者が明らかにしました。この後「ニューヨーク・タイムズ」、「ワシントン・ポスト」、ABC、BBC(何れも英語)などの各種メディアがこぞってこのニュースを取り上げました。
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2005.03.27
この度オハイオ州にあるカントン交響楽団(The Canton Symphony Orchestra)が、楽団員、スタッフ、重役、楽団会員など18名の女性によるセクシー写真付きのカレンダーを製作しました(ソース:英語)。楽団の理事長のLinda Moorhouse氏は「オーケストラのイメージを変える必要がありました。古くさいイメージを取り除こうとしたのです」「カントンの街には一級のオーケストラがあり、シックな(「classy」)女性達もいることを知って欲しかったんです」とその理由を語っています。その彼女自身もこのカレンダーに登場しています。
この企画を提案した楽団のサポーターのRoberta Gordon氏は、チャリティのために正に一肌脱ぐ女性達を描いた2003年のイギリス映画「カレンダー・ガールズ」(→あらすじ)を見てこのアイデアを思いついたそうです。シンバルだけを持ってポーズを取っている女性の写真もあるというこのカレンダーは楽団の公式サイトから購入可能だそうです。
そうですねぇ、個人的にはこのオーケストラのもいいけど、ニコラ・ベネデッティとか、ジャニーヌ・ヤンセンのカレンダーの方が欲しいです(笑)。もしあればですが。
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2005.03.26
「ガーディアン」紙の3月24日付の記事(英語)によると、ロンドン・フィルハーモニック(LPO)も独自レーベルを立ち上げ、手始めにこの5月に4枚のアルバムをリリースするそうです。内容については首席指揮者マスアと首席客演指揮者ユーロフスキのものが各1枚、そして残りは「LPOの過去の演奏録音」だそうです。
となると元首席指揮者のテンシュテットのライブが出るのかどうかが気になるところですが、今のところは不明のようです。ともあれ管弦楽団が自らレーベルを興す動きは世界的に主流になりつつあるようですね。
(3/31追記)「at the end of the day」の方でタイトル情報が出てますね。テンシュテットのワーグナーですか。「Crotshet」を見ると「1988年録音」とありますが、曲目は来日公演のときと全く同じですね。これは来日公演のNHKのテープを使用したものなのか、それとも同じプログラムによる(ロンドンとか)別の場所でのライブなのか、どちらなのでしょうか。
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2005.03.23
20世紀を代表する作曲家の一人のユン・イサン(尹伊桑/윤이상:1917-95)の作品は日本を含む世界中で演奏され、現代音楽の作曲家としては我々にも比較的馴染み深い存在ですが、母国韓国での評価には寂しいものがありました。それは彼の数奇な一生と密接な関係があります。
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2005.03.22

St.Ives様、ありがとうございます。解って頂けて何よりです(笑)。実はあのエントリのタイトル、最後まで「ピーターと白鳥」との二者択一で迷っていたのですが(笑)。
それにしても白鳥の肉ってどんな味なんでしょうか。テリーヌの作者に言わせると「キジの肉に少しシカの風味もある」(英語)というのですが、キジもシカも食したことのない私には何の事やらチンプンカンプンです(笑)。
ところでサー・ピーターは(St.Ives様のご指摘のとおり)「第9番」に手を掛けている作曲家の一人なのですが、「交響曲第8番(南極交響曲)」ではわざわざ南極で一ヶ月を過ごして曲想を練ったといいます。オークニー諸島といい南極といい、よっぽど極地が好きなんでしょうか。はっ!もしかしてペンギンを…、まさか…。
少し冗談が過ぎてしまいましたでフォローを。サー・ピーターは自身の作品をウェブサイト「MaxOpus」で公開していて、代金を払えば比較的安価で音楽ファイルを手に入れることが出来ます。現代音楽を手軽に音楽配信で入手できる、というのは良いことですね。
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2005.03.21
イギリスを代表する作曲家で「MASTER OF THE QUEEN'S MUSIC」の立場にあるサー・ピーター・マックスウェル・デイヴィス(70)が警察の事情聴取を受けました。罰金などの処罰の可能性もあり、まさに一大事ですが、彼の容疑は一風変わったものでした。
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この週末、ソーシャル・ネットワーキングサイト「mixi(ミクシィ)」のあるトピック(←会員限定)が異常に盛り上がってましたね。元々は演奏後の観客のリアクションを巡る議論だったのですが、時々「楽章間の拍手」の方にも話が行ったりして、色々と興味深く拝見しておりました。
そこで紹介されていたリンク先で、コンサート中の拍手にまつわる面白いエピソードがあったので、こちらでもリンク。
HILARY HAHN.COM. Hilary interviews conductor Eiji Oue in a car traveling between Metz and Paris, during a January 2005 concert tour with the Verdi Symphony Orchestra of Milan(英語)
あのヒラリー・ハーンと、あの大植英次の対談記事です。大植さんが「水道水はニューヨークのが一番うまい」と語ってたりとか、まあざっくばらんな内容なのですが、記事の中ほどにヒラリーが「楽章間の拍手についてはどう思いますか」と尋ね、「いいんじゃない」と答える件があります。それに続いて大植さんが紹介したのがこんなエピソードです;
<2,3年前のある演奏会で、ベートーヴェンの「交響曲第7番」の第1楽章のあと熱烈な拍手が客席から起こり、指揮者(誰なのかは不明)は拍手を制止させてから第2楽章に入った。第2楽章後は、さっきよりもやや小さな拍手。再び指揮者は拍手を制止させた。第3楽章のあとは聴衆は拍手をためらい、音楽は最終楽章へ。あの大団円の後、誰一人拍手するものは無くホールは静寂に包まれ、指揮者は静かに舞台を後にした。>
笑。
ところでこの対談は今年1月に行われてたのですが、その頃は丁度「楽章間の拍手」が英語のブログ界で話題になっていた時期と重なります。ヒラリーがブロッガー達の議論に反応して現役の指揮者に意見を求めているという点でも興味深い記事でした。というかヒラリーのサイト、今更ですがなかなかいいですね。
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2005.03.18

<配役と演奏>
フロレンシア(オペラ歌手)…パトリシア・シューマン(ソプラノ)
リオロボ(アマゾンの精霊)…マーク・S・ドス(バス=バリトン)
ロサルバ(ジャーナリスト)…アナ・マリア・マルティネス(メゾソプラノ)
アルカディオ(カピタンの甥)…チャド・シェルトン(テノール)
アルバロ…エクトル・バスケス(バリトン)
パウラ(アルバロの妻)…スザンナ・ガズマン(メゾソプラノ)
カピタン(船長)…オレン・グラダス(バス)
パトリック・サマーズ指揮ヒューストン・グランド・オペラ管弦楽団
/同合唱団
ある日いつものように「orchestra」とか「opera」とかのキーワードでググっていたら気になる記事を見つけました。シアトル歌劇場では「フロレンシア」という新作オペラが人気(参照:英語)となり、「再演して欲しい」というリクエストに応える形で今年再演することになったというのです。どんなオペラか気になったのでCDをアマゾンで購入してみましたが、理屈抜きに楽しんで聴くことができました。
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新音楽監督ジェームス・レヴァインを迎えての最初のシーズンとなるボストン交響楽団ですが、地元紙のレビューは概ね好評で、まずは掴みはOK、といったところのようです。ところで今シーズン開幕当初から地元では「レヴァインの演奏会は長い」、そして「リハーサルもみっちり行う」ことが話題となり、新音楽監督を迎えて楽団員の仕事は以前よりハードになっているようです。
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2005.03.15
最近のスカラ座の人事と、それをめぐる諍いについて取り上げるのを私はこれまで意識的に避けていました。この問題の実体が何なのか、海外メディアからの情報だけではよく判らない、というのがその理由で、もう一つには芸術的な理由で揉めているのでなく、何か政治的な臭いがしたというのも正直あります。ただスカラ座労働組合の公式blogにあったこの写真を見てしまうと…。何というか悲しくなってきました。
今回のいきさつについては、常にこの問題を注視しておられる「南イタリアの申し子」をご覧頂きたいと思います。さて昨日付の「ガーディアン」紙(英語)によると音楽監督のムーティが「この状況ではスカラ座管の指揮は出来ない」と云った、とありますが、これと同時に「スカラ座の重役会は、今後の運営を政府内委員会にゆだねることを提案している」という記載もあります。正直さじを投げてしまった格好のスカラ座の幹部たちには幻滅してしまいましたし、「(対立が続けば)ムーティはどこか余所に行くべきだ。どの歌劇場も彼を諸手を挙げて歓迎するよ」という、ヤケとも取れるミラノ市長(スカラ座の役員を兼任)のコメントもなんだかな~という感じです。
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2005.03.12
「平均律クラヴィーア曲集・第1巻」をクラヴィコードでつま弾くというコンサート(3/6、京都府立府民ホール ALTI)に行って来ました。会場に入ると舞台がいつもの「アルティ」より低くなっていて、しかも舞台を取り囲むように座席が設けられていました。これはクラヴィコードの音の小ささへの配慮でしょう。開始予定時刻ぎりぎりまで仕事をしていた調律師が退場したあと照明が落とされ、客席の入場口から大井さんが登場すると「先ず小品を」と話して1曲(ウィリアム・バードか?)演奏。予想はしていたもののやっぱり音が小さい…。そんな私の気持ちを見透かすかのように大井さんが演奏を終えてやにわに振り返り一言。「席を替わる最後のチャンスですよ」。思わぬ一言にどっと湧く会場。しかし世界で一番有名なアルペジオが始まってからは会場は一気に緊張感に包まれていきます。
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「Brunchくん」でググると当ダイアリーがトップに出てしまうという件につきまして、TBSとサンリオ両社には多大なご迷惑をお掛けしております。「坂本くん」はこの場を借りてお詫びするとともに、今後このようなことのないように一層努力をして参る所存であります。
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2005.03.11
少しチケットの売れ行きを心配していた「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」音楽祭ですが、公式サイトのトピックスのところで前売売切公演のアナウンスが出てます。それからタイムテーブルからも売切、または残席の僅かな公演が判るようになっていますね。
●4/29のタイムテーブル
●4/30のタイムテーブル
●5/1のタイムテーブル
タイムテーブルには最新の残席状況が反映されていないようですので、トピックスにも目を通しておいた方が良いと思います。ところでチケットの売れ行きを見てると、結構クラシックのマニアの方もこの音楽祭に関心をもっておられるような気がします。
それからフォーラム内の「相田みつを記念館」での公演も去る3日から発売されているようですね。チケットは当ダイアリーの去年12月4日のエントリにあるチケット取扱サイトのリンクを辿ると購入できます。
あと会場では「展示ホール」でアマオケによるコンサートもあるようですが、参加団体は発表されるのでしょうか。というか是非そうして頂きたいのですが。そして「ネオ屋台村スーパー・クラシック」なる屋台も出るみたいですので、コンサート巡りで食事の時間を取るゆとりのない多忙な方にはぴったりですね。トークショーもあるようですし、なんか祭っぽくなってきましたね。
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2005.03.10
ピアニストのJohn Kersey氏が演奏した19世紀のピアノ曲のmp3ファイルが、彼自身のサイトで公開されています(→ここ)。当然我々は無料でダウンロードできます。このサイトで現在アップロードされている35曲は(比較的有名なアルカンの手によるものも含めて)全て「世界初録音」との事です。
Kersey氏は「このピアノ曲の数々はどれもメロディアスで楽しいし、そして楽器の特性を生かした作品ばかりです。これらは広く聴衆にアピールするようにと親しみやすく書かれたものです。そんな初演当時の意図はアップロードすることで達成できたと思います。」と語っています。私も幾つかダウンロードしましたが、難度が高い曲にも果敢に挑んだKersey氏の演奏は総じてうまくまとまっていると思います。何はともあれ知られざる小品を世に知らしめんとするKersey氏の努力には拍手を送りたいです。
(参考)
PlaybillArts. Unknown 19th-Century Works Assembled in Internet Archive (8 March, 2005)
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昨年7月15日のエントリでお伝えした裁判の続報です。この裁判ではde Lalandeの楽譜の校訂を行った音楽学者Lionel Sawkins氏が、自ら編纂・校訂した楽譜に対する著作権を主張し、彼の楽譜を使用した演奏のCDの発売元のハイペリオン側に著作権料を支払うよう訴えを起こし、第一審では原告の訴えが認められ、ハイペリオン側には50万ポンド(約1億円)の支払いが命じられました。
ハイペリオンという会社の規模を考えると50万ポンドは決して少額とはいえず、今後の行方を心配していたのですが、Times紙の今月7日付の記事(英語)によると、ハイペリオンは判決を不服として控訴し、来週に第二審が開かれるということです。今回のケースについて上記の記事を書いたRichard Morrison氏は「校訂者には仕事に見合うだけの報酬が必要」と音楽学者の仕事に理解を示しつつも、古い作品に加筆を加えることにオリジナリティを認める今回の判決を契機に「多くの音楽学者が著作権料を請求し、そのあおりを受けて音楽団体の財政を危機に追い込む可能性がある」と音楽業界への影響を懸念しています。そして更に「この判決はパブリック・ドメイン包囲網への追い風となる」と、一連の米国主導の著作権保護期間延長の動きとも関連づけて論じています。「人類が共に共有すべき文化遺産に触れるのを今以上制限するのは道徳的に間違っている」と結ぶMorrison氏に私も同意します。
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2005.03.09
と「CLASSICA」で言われてもイマイチピンとこない。どうも「ムツゴロウとゆかいな動物たち」みたいにイメージが湧いてこない。
ということでイメージ=画像を作ってみることにする。

………
ともあれiio様の仰るとおり、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」の会場に閑古鳥が鳴くということにならなければいいのですが。周りの同好の士の中には「東京国際フォーラムでクラシックなんかいやだよ~」ていう位、会場の音響の評判は悪いらしいのですが、私はこんなオモロそうなことにはすぐノってしまう質なので、Loppiでサクッとチケットゲットしたのであります。
(ちなみに画像の下の段の人物は左からフンメル、ライヒャ、リース)
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2005.03.07
「SA-CD.net」は、その新譜情報の早さでいつも重宝しています。最近は新録音もSACDでのリリースが多くなり、それはそれで喜ばしいことなのですが、しかしSACDの本領を発揮してくれるDSDレコーディングはまだ少ないような気がします。そんな中マイケル・ティルソン・トーマス(MTT)のマーラー・ツィクルスの最新録音の「交響曲第9番」と、ユリア・フィッシャーのバッハ無伴奏のリリース予定が出てますが、いずれもDSD録音なのが嬉しいです。しかしこうやって見るとユリアも結構グッドルッキングですね(笑)。
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(曲目の詳細については「ノルディックサウンド広島」のサイトにあるニューズレターをご覧下さい)
演奏:エリサベト・マイヤー=トプセー(ソプラノ)ペル・サロ(ピアノ)
エリサベト・マイヤー=トプセーは地元コペンハーゲンを始め欧州各地の歌劇場で活躍するソプラノ歌手です。彼女のデビューCDとなった、R・シュトラウスの「最後の4つの歌」などが収録されたアルバム(Kontrapunkt, Cat.#:32156)は英「グラモフォン」誌でオペラ評論家のアラン・ブライス氏(日本で言えば高崎保男氏のような存在か?)に激賞されました。私はついそのレビューにつられて購入したのですが、確かに彼女の声の深みを伴った力強さには惹かれるものがありました。その声質はワーグナーを歌うに適したもので、実際彼女はセンタ(「さまよえるオランダ人」)やエリザベート(「タンホイザー」)などをレパートリーとしています。
そんな彼女によるクーラウ、J・P・E・ハルトマン、ハイセ、ゲーゼ、ランゲ=ミュラーらの作曲したデンマーク語の歌曲のアルバムを購入してみました。一聴して「少し歌曲を歌うには声が重いかな」と思いましたが、聴いていくうちに深みのある声に慣れていきました。このアルバムに収録されているのは殆ど知られていない曲ばかりですが、シンプルで親しみやすいものばかりなので抵抗感なく聴き進むことができます。曲の幾つかはシューベルト的な雰囲気を持っています。トラック4の「子ヒバリの春の歌」は「ます」を連想させますし、トラック9の「ひとりの騎士がさまよっている」のイントロを聴いて「冬の旅」の第1曲を思い起こすのは私だけでないでしょう。またシューベルトよりも古い時代のドイツ歌曲のような端正な曲も多いような気がします。しかしこのアルバムに関してはデンマーク語だからとか、リーダーだからとあまり小難しいことを考えたりせず、ただ部屋に流してゆったりとたのしむのが吉かと思います。それにしてもこれらの歌曲、良い曲なのにこれまで有名にならずにいたのはやはり言葉の問題が大きいのでしょうね。デンマーク語は「世界で一番発音が難しい」ていう人もいるくらいですし。北欧には名歌手も多く、女性ではアンネ・ゾフィー・フォン・オッターや若手のミア・ペションもいますが、彼女たちの歌唱でこれらの歌曲も聴いてみたいな、と思ったりもしましたが、隣国のスウェーデン出身の彼女たちにとってもデンマーク語は難関なのでしょうね。
(Danacord, DACOCD 625)
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2005.03.06
今日NHKの番組表で初めて知りました。今晩7:00から9:10まで、シベリウスとブラームスの、それぞれ「交響曲第1番」のオンエアがあります。取り急ぎお知らせまで。
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2005.03.05
ボリショイ・オペラで今月下旬に上演される新作「The Children of Rosenthal」について、ロシア芸術の最高機関で上演するのにふさわしいかどうか調査すべきだ、という提案が3/2(水)にロシア連邦議会で出され、この提案は226対12で可決されました。2週間以内にこれに関するレポートが議会に提出されます。この新作の台本作者Vladimir Sorokinは以前にも「Blue Lard」という作品で「スターリンとフルシチョフはホモだ」という設定が議論を呼んだそうです。今回の新作は旧ソ連の科学者(「ファシストの生物学者」という記載もあるが?)が自分の楽しみのためにワーグナー、チャイコフスキー、モーツァルト、ムソルグスキー、ヴェルディのクローン人間を作ってしまうという内容ですが、他に売春婦や「ぽん引き」も登場するということで、スキャンダルの再燃を懸念して今回の動きとなったようです。調査にあたるSergei Neverov氏は「まだこの新作の台本を見たわけではない」ということですが「ロシアの文化のシンボルである劇場でのSorokinの下品な芝居の上演は止めさせるべきだ」「上演すればこのポルノグラフィーはロシア中で論争になるだろう」と話しています。
まあ議会で上演云々について議論することの是非はともかく(もし新国立劇場で天皇制を批判する内容の新作オペラが上演されても、同じようなことが日本の国会なら起こらない、と誰が断言することができるでしょう)、これだけは言いたい。
文句を言うなら見てからにしろ!
(参考)
Guardian. Bolshoi embroiled in row over 'pornographic' opera (March 4, 2005)
Andante. Bolshoi Theater Complains of Censorship as Duma Prepares to 'Verify Morality' of Avant-Garde Opera. (March 4, 2005)
PlaybillArts. Russian Parliament Orders Investigation of 'Pornographic' Bolshoi Opera (March 4, 2005)
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イギリスの作曲家マイケル・ナイマン(写真)が自らの作品を取り扱う新レーベル「MN Records」を立ち上げると発表しました(ソース:英語)。来月11日には第1弾として自らのピアノ・ソロ・アルバムをリリースする予定です。
「これは業界のやり方を打破するための手段だ」と話すナイマンは、他の独自レーベルを設立させたアーティスト同様、昨今の音楽業界には憤懣やるかたない様子です。「これまで所属していたレーベルでは、オペラをリリースする費用を捻出するために先ず人の興味を引くようなアルバムを出さなければならなかった。そのやり方に次第にストレスが溜まっていった」「発売までの2週間はいろいろな出来事で彩られている。奇妙な広告、奇妙なメディアの記事があって初めて発売日を迎えることができた」と述べています。
今後のリリースについては、「Man and Boy:Dada」というタイトルのオペラ(→上演時のレビュー:英語)、ジョニー・デップ主演最新作「The Libertine」のサントラ、そしてベス・オートン、ケイト・ブッシュ、ノーマ・ウィンストンらの歌うソング集などが予定されています。しかしナイマン自身は決して浮かれていません。「私は自分の音楽を出来るだけ多くの人に知って貰うためにやっている。CDを誰も買わない今の時代にレーベルを興すのは我ながら馬鹿なことだと思う。経済的には正直言って辛い。」と厳しい現実を嘆いています。しかし「これまでにない自由なやり方でやっていける。これはスリリングなことだと思っている」と前向きなコメントを述べています。
マイケル・ナイマンは300万枚の大ヒットとなった「ピアノ・レッスン」のサントラが有名です。でも私は彼の音楽を聴くとどうしても「料理の鉄人」を思い出してしまうので困ってしまいます。いずれにしても新しいレーベルでどんな活動を繰り広げるのか、ナイマンの今後に注目です。
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2005.03.04
以前のエントリでシカゴ響の次期音楽監督を決める動きをお伝えしましたが、「シカゴ・トリビューン」紙でも今後の動向を占う記事(英語)が出ました。こちらの方は例の公聴会の模様にも触れられていましたので、そこでの参加者の意見の幾つかを簡単に訳して箇条書きにしてみます。
①現代音楽に対してもっと積極的に取り上げて欲しい
②教育プログラムに力を入れて欲しい
③バレンボイムはよくやった。彼がシカゴを離れるのは残念だ
④バレンボイムは(ベルリンなどで)他の仕事のためシカゴを離れることが多かった。我々と共にあるような音楽監督が来ることを望んでいる
これ以外に「シャイーがいい」「スラットキンがいい」と指揮者の名前を具体的に挙げる声もありましたが、オケの運営全体に関する意見も結構出たようです。
さて音楽監督の選考にあたっての最大の問題がスケジュールです。指揮者は数年後まで仕事が決まっているのが一般的なので、「あなたは音楽監督に選ばれました。おめでとうございます。で来年からシカゴに来れますか?」と言っても指揮者が「予定が詰まっているからダメ」と断る可能性が高いのです。そこで「シカゴ・トリビューン」紙はこの問題を解決するため、本命の音楽監督が就任するまでの2、3年間を経験豊かな(というかベテラン)指揮者に任せる「暫定政権」の可能性を示唆しています。更にその暫定統治期間には(ピッツバーグ響のように)複数の指揮者が仕事を分担する「分割統治」が喜ばれるかも、と述べています。そして3年後の2008年になると、サロネン(ロサンゼルス・フィル)やロバートソン(セントルイス響)の契約が丁度切れるので、グッドタイミングでは、と書いています。
前回のエントリは候補リストはあくまで外野の予想でしたが、「シカゴ・トリビューン」紙は「団員のアンケートで名前の挙がった指揮者のリスト」を挙げています。そのリストを勝手ながら転載してこの記事を終えたいと思います。
●今後継続した関係を持ちたい指揮者のリスト;
リッカルド・シャイー、サイモン・ラトル、リッカルド・ムーティ、クラウディオ・アバド、クリストフ・フォン・ドホナーニ、ベルナルト・ハイティンク、ダニエレ・ガッティ、デイヴィット・ロバートソン、マイケル・ティルソン・トーマス、エサ・ペッカ・サロネン、クリスティアン・ティーレマン、ロリン・マゼール、レナード・スラットキン、デイヴィット・ジンマン、シャルル・デュトワ、アラン・ギルバート、マリス・ヤンソンス、ジェフリー・カーン、ケント・ナガノ、小澤征爾、アンドレイ・ボレイコ、ジエームス・コンロン、ユーリ・テミルカーノフ、フランツ・ウェルザー=メスト、ネーメ・ヤルヴィ、ヨエル・レヴィ、ジェームス・レヴァイン、ロバート・スパーノ。
●短期間の音楽監督(「暫定政権」)としてふさわしいと思う指揮者は?
ドホナーニ、アバド、ハイティンク、デュトワ、ヤルヴィ(父)、ウォルフガング・サヴァリッシュ。
●客演指揮に来て欲しい指揮者?
シャイー、ドホナーニ、デュトワ、ギルバート、ハイティンク、ニコラウス・アーノンクール、ヤンソンス、パーヴォ・ヤルヴィ
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2005.03.03
江口玲のピアノリサイタルが「栗東文化芸術会館さきら」(小ホール)で先週末(2/27)にあったので、カミさんと2人で行ってきました。1回のコンサートで色んなピアノ音楽の楽しみが味わえて私はすっかりお腹一杯、大満足でした。風邪気味だったカミさんは気分を良くしたせいか「風邪が治った」と言ってました(笑)。
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今年1月6日のエントリで初めて触れたセントルイス交響楽団のストライキは2ヶ月に渡る長期戦となりましたが、先週経営者側から出された新提案が、去る1日の楽団員の投票で56対36の賛成多数で可決され、この結果めでたく2008年9月7日までの新労使協定が締結されました。新契約では楽団員はインセンティブも含めると最後のシーズンには年間80,600ドル(約846万3000円)を手にすることが出来ます。これは経営者側の最初の提案(年間72,000ドル=756万円)と比べると大きな進歩です。というか何でそんなに違うの、と太平洋の向こうから思わずツッコミたくなりましたが(苦笑)。
ともあれストは中止され、今週末(3/4,3/5)のコンサートからセントルイス響の定期演奏会が再開されます。指揮はイェルジー・セムコフで、「交響曲第34番ハ長調」(K.338)、「同第39番変ホ長調」(K.543)、「ディヴェルティメントニ長調」(K.136)のオール・モーツァルト・プロです。
(参考)
PlaybillArts. St. Louis Symphony Musicians Approve New Contract, Ending Two-Month Work Stoppage (March 2, 2005)
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2005.03.02
ストックホルムの北方約700キロに位置するピテアという街では、今週末のウィンター・フェスティバルの目玉イベントとして、全て氷で出来た楽器を使用したオーケストラ・コンサートが企画されていました。アメリカ在住の彫刻家のティム・リンハート氏が氷からクラリネット、トランペット、ギター、チェロなどの楽器群を1台づつ丁寧に彫り下ろし、そして実際に音を奏でるはずでした。ところがコンサート直前になってリンハート氏は「楽器の音が気に入らないし、演奏家も楽器を弾きこなせていない」という理由でこの企画をドタキャンしたのです。
突然のキャンセルに地元関係者は怒り心頭です。ピテアの音楽関係者は「到底受け入れがたい」「彼に仕事をさせたおかげで我が町は辱めを受けた」「練習時間が数日しか取れなかった演奏家の方も可哀想」と話しています。リンハート氏からの反論のコメントはまだないようです。
企画は良かったんですけどね。しくじっちゃいましたね。というか本当に演奏する側に問題があったんでしょうか。リハーサルに熱が入りすぎて楽器が溶けちゃったのが真相なのかもしれませんね。
(参考)
ABC News. Sculptor Cancels Ice-Instrument Concert (28 February, 2005)
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2005.03.01
先週Volker Hartungの指揮するThe New Philharmonia of Cologneが演奏会の会場で強制捜索を受け、楽団員15人が不法就労の疑いで仏警察に逮捕・監禁されました。また指揮者も逮捕されましたが、保釈金を払ったのち釈放されました。警察の調べでは「この指揮者は1人1日当たり30ユーロ(約4100円)という低賃金で、主に東欧出身の演奏家をヨーロッパ各地に演奏旅行をさせていた」といいます。現在指揮者は暫定的に仏国内での演奏が禁じられています。
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