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2005.02.09

サロネン ロサンゼルス・フィルとの契約延長

 ロサンゼルス・フィルハーモニックは音楽監督のエサ・ペッカ・サロネンと2007/08シーズンまで契約を延長すると発表しました。サロネンは1993年にこのポストに就任し、現在12年目ですから、これは完全に長期政権ですね。個人的には指揮者サロネンはあまり評価していない(リゲティとケンカもしたし…)のですが、彼は指揮だけでなく作曲活動も結構旺盛に行っていて、最近の彼の作品の幾つかは結構好きだったりします。来年のロス・フィルのプログラムはそんなサロネンの意向を強く反映し、現代作品にかなり力点を置いた、というか「偏った」といってもいいプログラムになるようです。

 新作初演はリンドベルイ、アデスの作品ら4曲が予定されています。他にはジョン・アダムスが監修するミニマル音楽のシリーズが開催され、そこでは彼自身の作品やルイ・アンドリーセン、グラス、ライヒ、ペルトの作品(ペルトってミニマルなんですか?まあいいや)が演奏されます。アダムスものでは「エル・ニーニョ(神の子)」の演奏会形式でのコンサートもあります。この他にもサロネンやアデスの作品を含む数曲のアメリカ初演も予定されていて、ジュリーニ時代に定期会員になられた方々がどれだけ今なお会員に残っておられるのか心配になるほどの現代音楽尽くしです。
 そんな古くからの会員に配慮したのかどうかは判りませんが、来期のロス・フィルはベートーヴェン交響曲全9曲を1シーズンかけて演奏します。しかしベートーヴェン目当てに集まった聴衆も完全に現代音楽からは逃れられません。ベートーヴェンの交響曲をやる日のプログラムには上記のような現代作品が含まれることになるそうです。
 それにしてもここまで常設オケが現代音楽に積極的なプログラムを組むことは日本では考えられないでしょう。ロサンゼルスのファンは新しい音楽に対して受容的なのでしょうか。このような新旧取り混ぜたプログラミングが聴衆に木に竹を接いだような印象を与えないかどうか気になるところですが。
(参考)
PlaybillArts. L.A. Philharmonic Announces 2005-06 Season; Salonen Extends Contract (8 February, 2005)

(2/10追記)ロス・フィル公式サイトで詳細が発表されました(ニュースリリース曲目リスト;共にpdfファイル)。本拠地のウォルト・ディズニー・コンサートホールのシーズンプログラムを見ると、ベートーヴェンの交響曲の指揮は全てサロネンが担当するようですね。それからベートーヴェンだけ演奏する日もあるみたいですね。しかし「英雄」の前にリンドベルイの新作初演をしたり(今年10/6,9)、「田園」と「第4番」の間にナッセンの「ヴァイオリン協奏曲」(ソロはジョセフォヴィッツ)をやったり(今年10/13,14,16)、といったプログラムも組まれています。そして「第九」の前にリゲティの「レクイエム」(来年5/11,13)をやりますね。今は仲直りしたのかな。それ以外で気になったのはエリオット・フィスクの「アランフェスの協奏曲」(今年11/18,19,20)とヒラリー・ハーンのシベリウスの協奏曲(来年1/21.22)ですね。ロスに住んでたら絶対行きますよ。

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