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2005.02.27

英EMI 最後のオペラのスタジオ録音!?

 2月25日付の「フィナンシャル・タイムズ」紙に気になる記事(英語)を見つけました。きになる部分だけ引用;

"....Production costs for a live recording of a standard symphony can be as low as £15,000, compared to £45,000 for a studio version. For an opera recording such as EMI’s Tristan und Isolde with Placido Domingo, due out in July, the bill runs to something like £250,000. On that basis, studio-based opera recordings don’t make sense any more - and it comes as no surprise to learn that Tristan will be EMI’s last. The future for opera is DVD."

 この前半の「交響曲をスタジオ録音で収録するとライブ録音の3倍費用がかかる」「現在進行中のドミンゴの『トリスタン』の経費は25万ポンド(約5千万円)」というのはいいとして、その後の文章が引っかかります。「この『トリスタン』がEMIの最後の歌劇のスタジオ録音になる」みたいに書いてあるじゃないですか!EMIの前身の「ザ・グラモフォン・カンパニー」の最初のエンジニア、フレッド・ガイスバーグが1902年にミラノでカルーソーの声を吹き込んでから約100年、オペラ・レコーディングの歴史は一大転換点を迎えることになるのでしょうか。これはただ事ではありませんね。さきほど東芝EMIにはこの報道が事実かどうか確認のためメールを送りました。

(2/28追記)
東芝EMIから返事が来ました。「トリスタン」が最後のスタジオ録音か、という点についての公式見解はありませんでしたが、上記の新聞報道を覆すようなコメントは返信メールからは見つけることができませんでした。今後は「完全にDVDに一本化する」というドラスティックなことはせず、ライブ録音で収録したテープを用いてCD化する可能性は残されているようです。
最後になりましたが、この場を借りて東芝EMI株式会社の担当の皆様の迅速な応対に心から御礼を申し上げます。
(6/28追記)HMV.co.jpの方にドミンゴの「トリスタン」の発売予告が出ましたね。

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Comments

こんばんは。
確かに単にオペラ録音の契約が現時点でないだけなのかもしれませんが、AV時代の現状を考えると、もしかしたら音だけの録音はもうないのかな、と思ってしまいました。
個人的には、レコード会社がオペラを録音しなくなると世界のラジオ局もそれに影響されてオンエアが少なくなるのでは、と少し心配しているのですが。

Posted by: 「坂本くん」 | 2005.02.27 20:13

今年初めのNYTimes(URL欄に入力)がモトネタだと思います。当時外国のオペラ掲示板等でも少し話題になりました。
EMIは、DVDの収録計画は持っているが、予算面の問題も大きくてトリスタンの後のCDスタジオ収録の計画は今のところない。といっているだけで、絶対に今後行わないと言っているわけではないと理解しています。
ただ、今後の傾向としてスタジオ録音は少なくなっていくと思いますし、ドミンゴに限って言えば、トリスタンがほんとに最後のスタジオ録音かもしれないとは思いますが……

Posted by: sakag510 | 2005.02.27 17:57

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