岩城宏之 ベートーヴェン交響曲「一晩で全曲」演奏会をテレビで見ました
大晦日は「紅白」や格闘技とザッピングしながらですけど東京文化会館での「岩城宏之 ベートーヴェンの1番から9番までを一晩で振るマラソン」の模様を拝見し、年を越してから改めて録画をじっくりと拝見しました。途中長い休憩が入ったものの延べ9時間半にわたり演奏を続けた岩城氏、N響のメンバーなどで構成された楽団員、合唱団、ソリストの方々、更にはスタッフの皆様や会場にお越しになった観客もご苦労様でした。こういうのは一種の「祭り」というか「イベント」なわけでお客さんも「良い演奏を聴きに行くぞ!」というより「大晦日をベートーヴェン尽くしで楽しもう」と思ってチケットを購入された方も多いのではと思うのですが、今回のオケは全体的に引き締まった音を出していて、想像以上に好演奏を聴かせてくれたのが嬉しかったです。
さてこの演奏会の「第8番」を演奏し終えたところで岩城氏が舞台袖からワイアレスマイクを持ち、募金箱を抱えて登場しました。
そこでのスピーチは岩城氏の人柄がにじみ出る良いものでしたのでここに勝手ながら再掲します。
「中越地方の大地震の被害に続いて、今度はプーケット、インド洋の大惨事があって、世の中がちっとも収まらないんですけども、なんかベートーヴェンでこんな音楽会なんかやってもいいんだろうかと思う位悲惨なことで…<この辺は聞き取れませんでした>。ただちょっとでも中越地方やインド洋(周辺)の方々に少しでも日本赤十字を通じて寄付をしたいと思います。最初に僕が入れますから(とお札を募金箱に入れて会場が沸く)。いつもですと阪神大震災の時もずっと、音楽会の度に僕がこれ(募金箱)を持って楽員と一緒に(客席を)回りましてお金をお預かりしてたんですけど、今日はちょっともう、あと「第九」のエネルギーだけしか残ってませんので(笑)、スタッフの方にお願いして回って頂きますのでよろしくお願いします。」
その後会場で募金箱を持って回る人達の中には当日の演奏会でレクチャーを担当していた三枝成彰氏の姿もありました。この光景をテレビで見ながら、私は自宅でのんびりとしていられる幸せを感じつつ、改めて犠牲者や被災者のことを心に留めてこれからの日々を過ごしていこうと思いました。
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Comments
こんばんは。
WOODMANN様、その「まさか」だったんですよ(笑)。全9曲をぶっ通しでスカパーで生中継してました。演奏自体はピリオド風とはいえないものでしたが、かといって時代がかった解釈でもありませんでした。私はテレビの前で年越しそばを食べつつ(笑)も、特別な演奏会だから普段と違う何かが起こるかも、という緊張感を感じながら素直に楽しんでました。
今度はトライアスロン級の企画ですか。となるとヴァイオリンも弾けてピアノも達者な指揮者でも呼んで弦楽四重奏曲全曲、ピアノソナタ全曲と合わせて24時間かけて演奏してもらうしかないでしょう(笑)。
Posted by: 「坂本くん」 | 2005.01.06 21:20
これ、テレビで放映されたのですね。(まさか全部?)
私は一昨年の岩城・大友・金による「ベントー持ってベートーヴェン」は聴きに行きましたよ。本当に弁当持参で。(笑)
こういうイベントを「演奏の質が」とか宣ってバカにする人もいますが、本当に楽しかったです。こちらは聴いているだけなのに、何故か妙な達成感もあって。
で、何故今年は行かなかったかというと岩城さんオンリーだったため。というのも、アンサンブル金沢とのツィクルスではベーレンライター版を使いピリオドアプローチも意識して、という演奏だったのに、「ベントー」の時はピリオドアプローチ糞食らえ、みたいな演奏で、なんだか一貫性のない人だなぁと思ってしまったもので。今改めて考えてみると、あれば金さん(はCD同様ピリオドアプローチでした)のスタイルとの対比という演出だったのかもしれませんね。
今年もやるとしたら、どんな企画になるのでしょう。マラソンは完走してしまったので、今度はトライアスロン級の企画になるのか?…
Posted by: WOODMANN | 2005.01.06 20:02