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2004.12.29

マリア・タウベロヴァーのこと

12/5分の続き)
 先日CD化されたシェイナ指揮のマーラー「交響曲第4番」は噂通りの名演だったのですが、第4楽章でのタウベロヴァーの歌唱も印象的でした。私は彼女の歌声を聴くのは初めてでしたし、彼女のことは何にも知らなかったのでその美声になおさら驚いたわけですが、ライナーノートでは藤田由之氏が「(歌声は)なかなか深い味を持ったものにも思える」と短く触れているだけで、彼女の経歴については何もわかりませんでした。そこでネットでプロフィールを調べてみましたので簡単ではありますが書いてみたいと思います。

tauberova

マリア・タウベロヴァー Maria Tauberová (1911-2003)
オペラ歌手。夫は指揮者のヤロスラウ・クロンブホルツ。
ウィーンやミラノで声楽を学ぶ。公へのデビューとなったマーラーの「交響曲第4番」の独唱(ワルター指揮チェコ・フィルとの共演)で成功を収める。
1936年から1973年まで プラハ国民劇場と契約。主なレパートリーはオリンピア(「ホフマン物語」)、ロジーナ(「セビリアの理髪師」)、スザンナ(「フィガロの結婚」)、ジルダ(「リゴレット」)、ノリーナ(「ドン・パスクワーレ」)、ツェルビネッタ(「ナクソス島のアリアドネ」)。本人はヴィオレッタ(「椿姫」)、カロリーナ(スメタナ作曲「二人の未亡人」)を好んで歌った。
録音はシェイナとのマーラーの他は、マルティヌー「ジュリエッタ」(クロンブホルツ指揮: SU 3626-2 612)がある。
<以上プロフィール終わり>(※1)

 この輝かしい略歴から、彼女がチェコ国内でスター級の活躍をした国民的大歌手であったことが伺えます。オペラのレパートリーをみると何か(今のようにマニアックなレパートリーしか取りあげなくなる前の)グルベローヴァと被るところがありますね。それからブルーノ・ワルターとこの「交響曲第4番」で共演したという経歴が一際目立っています。没年が去年というのにもびっくりです。
 ついでにシェイナについても調べてみたら、「グローヴ音楽事典」(英語版)の中に「彼はチェコ・フィルを振るヴァーツラフ・ターリヒとブルーノ・ワルターから多くを学んだ」という一節を見つけました。これを読むとシェイナのマーラー演奏から感じられる「暖かみ」はワルターから受け継がれたものかもしれないなあと邪推してしまいます。

(※1)
<参考資料>
1.Radio Prague, Maria Tauberova - in memoriam
2.Radio Prague, L'art exemplaire de Maria Tauberova
(ともに仏語)
3.音楽家大辞典. 財団法人音楽鑑賞教育振興会.
(「坂本くん」註:タウベロヴァーがデビュー時にワルターが共演した曲目については、マーラーの「交響曲第2番」という記述(資料3)と、「交響曲第4番」というコメント(資料1)が混在している。今回はより新しい資料1の記述を採用した。)

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