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2004.11.19

CDのインナーノート考

 1つ前の記事でヒラリー・ハーンのエルガーの感想を書きましたが、このCDは中身だけでなくインナーノートも最近になく良く出来ており、アルバム全体としてトータルに楽しむことができました。

 ハーンのポートレートがふんだんなのは前回も書いたとおりですが、彼女の献辞に続いて、ハーン自身によるアルバムのコンセプトを説明する内容の詩が目を引きます。これを読みながらポートレートを眺めるとハーンの人柄が伝わってくるような気がします。曲目解説も適度なボリュームで、作曲の背景や曲の魅力について知るのに十分な情報を提供していました。さすがにここで解説担当のマイケル・スタインバーグ氏がエルガーの協奏曲について「アルバン・ベルクに次いで20世紀で2番目に優れたヴァイオリン協奏曲」というのには同意しかねますが、少なくとも、同郷のニコラス・モーのよりはずっと素晴らしい作品だと思います(笑)。ともあれこのアルバムのようにアーティスト自身によるコメントがあるというのはアーティストの人となりを知ることができるので好感が持てるのです。
 このエルガーの場合のようにインナーノートに満足する、というケースは普通そうそうないものです。薄くて、しかも解説自体も字数も少ない簡素なのを目にするとなんかガッカリします。ただインナーノートに関しては、日本のインディーズ系の会社から出てるクラシックCDはなかなかがんばってると思います。しかし力が入りすぎてCDに収録された演奏よりも素晴らしくなってしまったものもあったりして、なかなかバランスを取るのが難しいな、と思ったりします。この間もお腹一杯になるくらいの立派な内容の解説が付いたインナーノートを見かけました、というより「読みました」といった方が正しいのですが。それは最近のクラシック音楽界の演奏スタイルの動向の分析を織り交ぜながら「この演奏がどうしてこんな弾き方をするのか」という理由を蕩々と述べ、演奏解釈の正当性、妥当性を主張するというものでした。これだけインナーノートが力作ならきっと演奏もいいのだろうな、と思って「PLAY」ボタンを押して落胆してしまった私は、蘊蓄などを垂れるオヤジのいるお店で不味いメシを喰ってるのと似た気分になりました。まあいくらインナーノートが良くても、結局肝心なのは中身、ということなのですが。(小声で)でもホントにいくら「オーセンティック」と言われても痩せた生気のないヴァイオリンを聴かされた後でヒラリー・ハーンを聴いたら天と地の違いを感じたよ。やはり何よりも先ずソロ奏者が強い「個の力」を持ってないとヴァイオリン協奏曲は聴けないわ。実は一番言いたかったのはコレだったりして(小声終わり)。
 ともあれiTunes Music Storeの日本進出前夜の昨今、パッケージソフトにはより一層の購買意欲をそそるための工夫が求められるところであり、レコード会社には更なる努力を期待したいと思います。

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