カラヤンの映像作品
20世紀で最も有名だった指揮者の1人であるヘルベルト・フォン・カラヤンは生前に多数のレコードを発表しただけでなく、多くの映像作品を残したことでも知られています。ただ彼の指揮するビデオ作品は交響曲の演奏でも映像的になかなか凝っていて、普段N響などのライブをテレビで見ている私たちにとって、とまどいを感じることが少なくありません。先日も「クラシカ・ジャパン」でチャイコフスキーの作品がオンエアされてましたが、そこでもカラヤンの独特の映像世界に目がくらみそうでした。
これは「ピアノ協奏曲第1番」で共演しているアレクシス・ワイセンベルクです。これはベルリン・フィルハーモニーホールで収録しているようなのですが、背景が紫色です。なんか悶々としたムードですね。紫の照明で照らすなんて、なんか大人向けのある種のミュージックホールみたいですね。そしてワイセンベルクに応える管弦楽ですが…
一番手前はチェロですが、どう考えてもカラヤン(中央・奥)と90度反対方向を向いて弾いているように見えます(笑)。左に映る別のチェロ奏者と比べれば、その向きの違いは明らかです。彼は反カラヤン派で、わざと反抗的な態度を取ってるのでしょうか?この場面に限らずカラヤンの映像には極端なクローズアップが多いのが特徴なのですが。
他にも驚くべきシーンが出てきます。
ワイセンベルクがオケをバックに弾いてますが、オケは随分ピアノから離れた位置にいます。オケはステージ上ですが、ピアニストはバルコニー席で弾いているようです。ところが…。
さっきのシーンから実は10秒たらずしか経ってないのですが、ピアノ&ピアニストがステージに瞬間移動しています(笑)。カラヤンがイリュージョンを披露している模様です。会場のベルリン・フィルハーモニーホールを別名「カラヤン・サーカス」というのはこの技を時々観客の前で披露していたせいなのかもしれません(違)。
といった具合で他に類を見ない独特の映像美で思わず唸ってしまいました。カラヤンは度々コンサートライブではありえないカット取りとか構図をビデオで見せているようなので、これ以外の作品もどんどん見てみたい、そうマジで思っています。
(追伸)ところでカラヤンはチャイコフスキーの3大交響曲(「第4番」、「第5番」&「悲愴」)も映像に残してますが、こちらの方は演奏自体看過できないもので、切迫した緊張感にあふれるパフォーマンスには惚れ惚れします。「血湧き肉躍る」とはこの演奏のことをさすのかも(特に「第4番」が素晴らしかった)。
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