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2004.09.25

労使交渉・フロム・カナダ

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(写真)モントリオール響の本拠地 サル・ウィルフリート・ペルティエ。
 
昨今アメリカのオケのスト情報ばかりお伝えしている「おかか1968ダイアリー」ですが、カナダ・ケベック州のモントリオール交響楽団(以下OSM)も労使交渉中だそうです。こちらでは楽団員側が2回のリハーサルを拒否し、今後ストライキを行う可能性についても示唆しています。
ソースによると前回の労使契約の際には楽団員側は何よりも当時の音楽監督(シャルル・デュトワのことですね)の交代が先決とし、その代わり賃金の固定を呑んだ経緯があり、今回の交渉では音楽監督がケント・ナガノに交代した後ということで、賃金アップを要求しています。
OSMは支出の中で人件費が占める割合が46%とのことなのですが、経営者側はその要求を受け入れる腹づもりはあるようなのです。ただその条件として運営経費の削減を受け入れることを楽団員側に要求しているということです。これに対しては楽団員側は「楽団の質的低下を招く」として反対しています。
しかし北米のオケが労働条件の改善に腐心していることは別に悪いことではないのですが、個人的に東欧のオケがその優れた技量にも拘わらず恵まれない条件で仕事をしていると耳にしたことがあるもんで、それと比較して北米のオケは恵まれているのは間違いない訳で、国際的な見地に立つと北米のオケはもう少し芸術的向上に配慮して欲しいなあと思うことも無きにしも非ず、といったことでしょうか。

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2004.09.24

ニューヨーク・フィル 今シーズン開幕

ソース
フィラデルフィア管、シカゴ響、クリーブランド管と共に労使交渉中のニューヨーク・フィルですが、今シーズン開幕を告げるガラ・コンサートがエーブリー・フィッシャー・ホールで行われましたので、とりあえずは演奏活動は無事始まったようですね。プログラムはベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」(独奏:ヴェンゲーロフ)とドヴォルザーク「新世界から」という王道系で。パトロン達、セレブリティ達(ウッディ・アレンもいたらしい)を含む観客を魅了したようです。指揮のマゼールは夏の間白内障の手術をしていたそうで、指揮台で健在ぶりをアピールしました。
ニューヨーク・フィルといえば19月に来日公演を控えていますが、あちこちのニュースや公式サイトを見渡しても確実に「来日する」と書いてあるところは見つかりませんでした。ともあれ無事来日できればいいですね。

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2004.09.22

2004年10月のNHK-FM放送予定

 今月の放送予定からめぼしいのだけ選んでみました。今月はオケものに「おっ」と思わせる公演が多いですね。指揮者アンドラーシュ・シフ(26日)って誤植じゃないですよね?ホントに指揮するのならこれも注目です。それからヘルビッヒ(27日)の次の日がヘレヴェッヘ(28日)と似た名前の指揮者が続くのになんとなく笑ってしまいました。個人的にはノリントンがニールセンをどのように聴かせるか(25日)、そして今日NHKのスタジオパークで元気な姿をテレビで見せてくれた舘野泉さんの演奏(30日)が楽しみです。

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2004.09.21

フィラデルフィア管 労使交渉続報

9/16日分の続き>
ソース
今週月曜日の交渉期限に向けて新たな労使契約への交渉を続けていたフィラデルフィア管の労使ですが、とりあえず契約を30日延長することで合意した模様。これで火曜日の今シーズンの開幕は無事に迎えられるようです。

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ドキュメンタリー「OZAWA」

 最近「クラシカ・ジャパン」で頻繁にオンエアしていたので、録画して見てみました。
 このドキュメント映画は約20年前にアメリカで製作されたもので、タングルウッド音楽祭での小澤征爾氏の活動を中心に彼の生活を淡々と追いかけた作品です。カラヤン、ゼルキン、ヨー・ヨー・マ、ジェシー・ノーマンといった有名アーティストも出てくるのですが、彼ら以上に存在感があったのが、最初から最後まで出ずっぱりの日本から小澤に指導を乞いにやってきた某若手指揮者です。彼はドキュメント本編でちゃんと実名で呼ばれていますが、ここでは敢えて名は伏せておきます(以下T氏としておきましょうか)。

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2004.09.16

ご就任 in the USA

 さて暗いニュースのあとは明るいニュース、アメリカのオケの人事異動のニュースを。
●マイケル・スターン氏 カンサス・シティ交響楽団の首席指揮者に(ソース
 高名なヴァイオリニスト、アイザック・スターンのご子息ですね。フランスのリヨン国立管、シカゴ響との共演歴があり、N響にも一度来演してましたね。
●ルイビル管弦楽団 アーティスティック・アドバイザーにレイモンド・レッパード氏を任命(ソース
 レッパードとは、久しぶりに聞く名前ですね。現在御歳77だそうで。ウリ・セガル氏(これまた懐かしい名前!)の後任として赴任。レッパード氏は2001年まで率いていたインディアナポリス響の桂冠指揮者ということで、アメリカの中部~中東部では巨匠的存在ということなのかな?

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労使交渉 in the USA(管弦楽団の場合)

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(写真)フィラデルフィア管弦楽団の本拠地 The Kimmel Center for the Performing Arts

 今、日本で「労使交渉」というとアレのことですが、ニューヨーク・タイムズ紙(英語)によるとアメリカで「ビッグ5」と言われる五大管弦楽団のうち、シカゴ響、ニューヨーク・フィル、フィラデルフィア管、クリーブランド管の4つが労使交渉の真っ最中だそうです(ちなみに残りの1つはボストン響)。フィラデルフィア管とニューヨーク・フィルは交渉期限が来週月曜日の午前12時1分で、これは共に今シーズンの最初のコンサートの前日にあたります。そして先に交渉期限が過ぎたクリーブランド管とシカゴ響は10月末日まで期限を延長して継続審議の最中です。労使の対立はフィラデルフィアで最も鮮明で、お互い顧問を雇って非難合戦をしているそうです。こういった労使対立の背景にはやはりアメリカの管弦楽団の財政難があります。

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2004.09.15

2004年秋のクラシックCDリリース予定から

 CD店のリリース予告を見てると、今秋は注目すべきライブ録音や再編集(とそれに伴う廉価盤化)などが目白押しですね。BBC Legendsからはジャクリーヌ・テュ・プレのドボルザークの協奏曲が出ます。このテイクは以前BBC Radio 3のウェブサイトから期間限定で聴くことが出来たのと同一演奏でしょう。テュ・プレ以外ではテンシュテットの「運命」が注目でしょうか。このテイクはSyuzo.comでは「これだけスケールが大きく、驀進する『運命』は久しぶりに聞いたような気がする」と太鼓判を押しておられます。それから北ドイツ放送響(NDR)シリーズ第2弾も出ます。こちらからはブートレグを含めて全くの初出と思われるテンシュテットのベートーヴェンの「第7番」が出ますね。こんだけテンシュテットものが出るなら「マーラーの『復活』まだー?チンチン(AA略)マチクタビレタ~!」と言いたくなりますが。NDRものでは他にマルケヴィッチのフランスもの、シュミット=イッセルシュテットのワーグナー、チャイコフスキー、ドヴォルザークなどが気になります。またEMIのチェリビダッケ・エディション第4弾は宗教曲が中心、そして日本盤は許光俊氏の解説付きだそうで。聴く方と読む方と、両方気になるところ。室内楽関係では「TDKオリジナルコンサート」の放送音源から東京SQのライブが出ますね。
 再発ものではDGで「ベートーヴェン大全集」の際に録音された、デイム・フェリシティ・ロット、サー・トーマス・アレンらイギリス人歌手達による「民謡編曲集」が良さそうです。歌詞はちゃんと付くのかどうか心配ですが。それから旧ソ連の名手マリア・グリンベルクによるベートーヴェン「ピアノソナタ全集」がまとまった形で(しかも廉価で)発売されるのも嬉しいところ。
 以上のようにライブ発掘もの、再発もので目を引いたものを挙げてみましたが、最近のリリース予告で一番気になるのがECMの新譜のペレーニのベートーヴェンだったりします。独特のアコースティックが特徴のECMの録音だけが気がかりですが。
<追記>「スプラフォン・ヴィンテージ・コレクション」第2回も発表されました。個人的にはシェイナものが注目です。
<追記2>「チェント・クラシックス」なる再発ものシリーズがタワー、新星堂、山野楽器から出るみたいですが、リリース予定によるとギレリス&ザンデルリンクの「プラハの春」音楽祭ライブとか、グノーのミサ曲とか、面白そうなアイテムがありますね。

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2004.09.10

【レビュー】トマス・テレフセンの室内楽曲集

Tellefsen.jpeg

1.トマス・デューケ・アクラン・テレフセン/ヴァイオリンソナタOp19
2.同/チェロソナタOp21
3.同/ピアノ三重奏曲Op31
演奏:アイナル・ステーン=ノクレベルグ(P)/アトレ・スポンベルグ(Vn)/オイスタイン・ビルケラン(Vc)

 このCDは9/7分の日記で触れたクラインのチェロソナタと同じ日に同じ店で買いました。そのときは「トマス・テレフセンて、ノルウェーの高名なヴァイオリニストのアーヴェ・テレフセンのおじいさんか、そのまたおじいさんかな?確認がてら買ってみよう」みたいな軽いノリだったのですが、同封ブックレットには特にそのことについて触れている箇所はありませんでした。ですからこのお二方のあいだには血のつながりはないのでしょうね。
 このCDについてはすでに「北欧のクラシック音楽」内に素晴らしいレビューがありますので、作曲家トマス・テレフセンについてはそちらをご覧頂くとして、ここで聴かれる室内楽作品はどれも親しみやすく聴きやすい作品ばかりです。たしかに19世紀のサロン音楽的な要素があり、そして実際そういった場所で演奏された作品なのですが、曲中にふと聴かれる転調や面白い節回しによってほのかな哀愁も漂わせたりして、そういう部分でノルウェーの後輩作曲家グリーグに繋がる雰囲気も感じられたりします。そんな哀感と(師匠であった)ショパンを思わせる華麗さが共存している魅力的な作品です。
 演奏者の3名はどなたも素晴らしいのですが、とくにステーン=ノクレベルグのピアノは音と音の置き方に独特の「間」を感じさせ、その何とも言えない余韻がトマス・テレフセンのもつロマンティックな面を際だたせています。彼の演奏はナクソスから出ているグリーグのピアノ曲全集でも素晴らしかったのですが(卑近な話ですが彼があの録音集でその価値に値するだけの正当な報酬を得たのか直接聴いてみたいところです)このCDでも名演を聴かせています。
 なおこのCDはSIMAXのサイトで試聴可能で、しかもwma形式でダウンロード版の購入もできます。興味を持たれた方はお試しを。
(SIMAX PSC1226)

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2004.09.07

【レビュー】ヤコブ・クライン チェロと通奏低音のためのソナタ

KleinSonata.jpeg
(演奏)
クリスティアン・フォン・デア・ゴルツ(バロック・チェロ)
ヒレ・パール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
リー・サンタナ(バロック・リュート)

 最近はネットでの評判をCD購入の参考にすることが多く、事前情報が何にもなく、ジャケットに書いてあるアーティストの名前を見てもピンとこないようなCDを「エイヤッ」と衝動買いすることはこの何年か無かったのですが、このあいだお店に行ったときついこのチェロ弓のジャケットのCDが目に付いてしまい「何かチェロのCDみたい。クラインって聴いたこと無い名前の作曲家だけど、とりあえず聴いてみよう」と買ってしまったこのCD、買って正解でした。いいですこれ。
 同封ブックレットによるとヤコブ・クライン(Jacob Klein)は1688年生まれで1748年没のオランダで活躍したチェリスト兼作曲家。この曲の楽譜はほんの2,3年前にどこかの蔵書からオランダ人の音楽学者によって発見されたばかりということで、このCDが当然ながら世界初録音。レコード会社のサイトのインフォメーション(英語)には「ロカテルリの影響が明らか」みたいに書いてあります。私は浅学なのでそのあたりのことははっきりと判りませんが、バロック時代の様式で書かれた作品群、ということは理解できます。チェロのソロパートはかなりの難技巧が要求されていて、華麗なチェロの妙技を楽しむことを意図した作品といえます。チェロ・ソロの華やかな走句は同時代人のヴィヴァルディのチェロソナタとは異なるムードを醸し出しています。それとともに短調の曲ではマラン・マレのヴィオール曲集のような哀愁も感じさせてくれます。ファン・デル・ゴルツのチェロは技術も高く表現力も優れていて、聴いていて引き込まれます。バロック時代のチェロ作品にこのクラインのソナタのような雰囲気の曲があまりなかったので、なかなか新鮮な気持ちで最後まで聴くことができました。このCDによってまた新しいチェロのレパートリーを知ることができ嬉しく思います。録音も優秀。
(Raumklang RK 2204;ASIN:B00022XOBS)

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2004.09.04

演出家のビエイト氏とは

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(写真1)エディンバラ芸術祭「トロヴァトーレ」から

 8/1分のダイアリーで触れたエディンバラ芸術祭のオペラ「トロヴァトーレ」ですが、予想通りビエイトの個性の強い強烈な演出だったようです。Daily Telegraph紙のレビュー(英語)にはこうあります。

「ヴェルディの愛、復讐、忠誠といった高貴で原始的な情熱のメロドラマから彼が描くことができたのは57種の体位と狂気に満ちた暴力だった」「またいつものビエイトの常套手段のオンパレードがやってきた。都会の悪夢を形作る死刑台(写真のシーンのことですね)。群衆による暴力。むちによる体罰。裸体や大便。酔っぱらいのギャングのセックス。タランティーノ風の血糊。これ以上のことは知りたくもないだろう。ヴェルディにとってこんなひどい代物はない。人生でこんなひどい仕打ちもないだろう。」

 ヨーロッパでは体位は57種類あるのか、というツッコミはともかく(笑)、このレビューアーがビエイトを毛嫌いしていることは伝わってきます。そんな批評家の敵と化したビエイト氏がどんな人物なのか気になっていたのですが、Guardian紙に彼のインタビューが出てたので読んでみました。

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2004.09.01

<訂正> クライバー 追悼アイテム発売

8/29付のダイアリーで少し触れたヘンスラーから発売予定のカルロス・クライバー指揮のボロディン「交響曲第2番」ですが、本日HMVのサイトを見ると余白は(当初予定されていたカルロスのリハーサルではなく)エーリヒ・クライバーの指揮によるボロディンの同曲の演奏になった模様です。

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