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2004.09.16

労使交渉 in the USA(管弦楽団の場合)

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(写真)フィラデルフィア管弦楽団の本拠地 The Kimmel Center for the Performing Arts

 今、日本で「労使交渉」というとアレのことですが、ニューヨーク・タイムズ紙(英語)によるとアメリカで「ビッグ5」と言われる五大管弦楽団のうち、シカゴ響、ニューヨーク・フィル、フィラデルフィア管、クリーブランド管の4つが労使交渉の真っ最中だそうです(ちなみに残りの1つはボストン響)。フィラデルフィア管とニューヨーク・フィルは交渉期限が来週月曜日の午前12時1分で、これは共に今シーズンの最初のコンサートの前日にあたります。そして先に交渉期限が過ぎたクリーブランド管とシカゴ響は10月末日まで期限を延長して継続審議の最中です。労使の対立はフィラデルフィアで最も鮮明で、お互い顧問を雇って非難合戦をしているそうです。こういった労使対立の背景にはやはりアメリカの管弦楽団の財政難があります。

 ビッグ5のうち黒字なのはボストン響だけという窮状の原因として「ニューヨーク・タイムズ」紙が挙げた原因は以下の通りです。
 ①90年代に管弦楽団の財政を支えたストックマーケットの相場の低迷(いわゆる「バブル崩壊」)。「9.11」もそれに拍車をかけた。
 ②入場者数の伸び悩み。
 ③メジャーレーベルのクラシックの新録音計画の縮小。
 ④楽団の保険・年金が財政を圧迫。
 それから人件費は支出の中でも大きなウエイトを占めているようで、フィラデルフィア管では支出の半分が給料や給付金(「坂本くん」註:年金のことと思われる)だそうです。ちなみに「現在ビッグ5の現役の楽団員の年俸は平均で10万ドルを超える程度」「各パートのトップになるとその3倍もらっているケースも」と書いてありました。
 これが労働の対価として適正かどうかと聞かれたら、私は「ビッグ5」というステイタスを考えると「それくらい貰ってもいいんじゃないの」と勝手な事を思ってしまうのですが、「ニューヨーク・タイムズ」紙は演奏家側にどうも批判的なようで、クリーブランド管の元トランペット奏者のDavid Zauder氏の「昔はホテルに泊まる金もなくて公園のベンチで横になっていたこともある。今の団員は5つ星ホテルに泊まっている。彼らはその待遇を守るために闘っている」というコメントを載せているのですが、そういった批判に対して現在のクリーブランド管の音楽家委員会のチェアマンのDonald Miller氏は「音楽家は3歳で楽器を弾き初め、収入を実際に得るまでに25年はかかる。金目当てでこの仕事をやっているわけではないが、何も無しではやっていけない」と反論しています。
 フィラデルフィア管では過去に事務職員の削減、音楽監督(クリストフ・エッシェンバッハ氏)やマネージャーの減俸など行い400万ドルの赤字を180万ドルにまで削減した実績があり、マネジメント側は「こんどは楽団員が努力する番だ」と主張しています。具体的には給料カットと、楽団員の削減(106人→100人)が提案されています。この6人削減案では現在2人いるハーピストが1人になるそうで、これに対して団員の一人は「『フィラデルフィア・サウンド』はフランス音楽を長年演奏してきた経験がベースとなっている。フランス音楽にはハープは2台必要とされる作品が多い。ハーピストの削減は伝統に対する挑戦だ」と語っています。
 確かに人員削減、給料カットなどを行うとオーケストラのクオリティが以前より低下してしまうのは否めないところなので、収入を増やす方法があれば良いのですが、現在の音楽産業の低調ぶりを見ると一朝一夕で好転するのはなかなか難しそうです。

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