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2004.07.27

バイロイト音楽祭 「パルシファル」

(ソース<英語>、

 今年もワーグナーの楽劇を上演する「バイロイト音楽祭」が開幕しましたが、初日の公演の「パルシファル」終了後Christoph Schlingensief氏の演出に対して強烈なブーイングが飛びました。最近のバイロイト音楽祭は次々と台本をめぐる新解釈や再構成がウリの刺激的な演出が披露され、さながら演出の見本市の様相を呈しているのですが、この「パルシファル」もその例に漏れず、Schlingensief氏はワーグナーの神秘劇の世界をアフリカの神話の世界に豹変させ、舞台にはこの写真(←成人向き)のような乳房をあらわにした黒人女性が登場しました。
 今回私はこの上演を目にしていないため、この演出の是非について私の個人的なコメントは出来ませんが、当地ではSchlingensief氏とパルシファル役のEndrik Wottrich氏との意見の相違が表面化したこともあって話題になっているようです。Wottrich氏は今回の演出は「原典からあまりにもかけ離れている」と批判。一方Schlingensief氏は「彼は高潔な思想を持っているがそれは私とは相容れない」と対立があることを否定しませんでした。この論争について音楽祭の監督のヴォルフガング・ワーグナーは「芸術の自由には言論の自由も含まれる」と静観する構えのようです。
(追記)この記事、アップさせた当初は女性のヌード写真が「バーンッ」と冒頭に晒されていたんですが、さすがに未成年も見るかもしれないのでクリックの後初めて見られるように変えておきました(笑)

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2004.07.25

2004年8月のNHK-FM放送予定

 今ウェブラジオでザルツブルグ音楽祭ライブ(小澤征爾指揮ウィーン・フィル)を聴いてます。いや立派な演奏でしたよ。ウェブラジオでしたが非常に細かいところまで神経が行き届いた緻密な演奏だったことは十分伝わりました。それでいて堂々とした雄大さも十分に感じられました。この演奏会の日本でのオンエアはあるのでしょうか。
 さて日本はNHK-FMの来月はやけに充実しています。欧州の夏の音楽祭の録音やベルリン・フィルのライブも勿論ありますが、再来週はピアニストのリサイタル特集ですし、在日オケの公演にも庄司紗矢香やファジル・サイなどとの共演の放送が予定されてます。中澤裕子さんがパーソナリティの「気ままにクラシック」の公開生放送もありますよ。


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2004.07.24

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭 日本上陸

(ソース2(英語)
 このニュースを見るまでフランス語で「熱狂の一日」を意味する「ラ・フォル・ジュルネ」(Le Folles Journées)音楽祭のことは寡聞にして知りませんでしたが、上記ソースによると一般的なクラシックの音楽祭とは少し毛色の異なるもののようです。
 毎年1月、フランス・ナント市の「ラ・フォル・ジュルネ」では5日間で300もの演奏会(!)が開かれますが、一コンサートの長さは概ね1時間と短いものの、料金は平均10ユーロと安く押さえられています。今年は延べ12万人がこの音楽祭に訪れましたが、アンケートに答えた観客のうち6割が「クラシックのコンサート初体験だった」と答えるなど、その独特の内容がマニアだけでなく普段熱心にクラシックを聴かない層にもアピールしているようです。
 日本でも本家のコンセプトは引き継がれ、来年4月29日から5月1日までの3日間、平均45分程度のミニ・コンサートが150回、東京国際フォーラムを中心に開かれるということです。ここで気になるのはやはり「料金」ですが、東京の音楽祭事務局は「平均1500円程度に抑える」といいますが、アーティストは500人招聘予定で、そのうち300人を欧州から呼び寄せると聞くと、どうやってコンサートの単価を1500円に抑えるつもりなのかな?と思ってしまいます。スポンサーがたくさん付く目算でもあるのでしょうか。上記ソースでもその点について「経費を抑制し、チケット代を低く設定しなければこの音楽祭の魅力は半減するだろう」と釘を刺してます。ナントの本家「ラ・フォル・ジュルネ」ではフレイレ、ルガンスキー、クリヴィヌ、佐渡裕などが出演したそうですが、もしこれら有名アーティストが1500円で聴けるとなると(僕らは嬉しいですが)これまで彼らを招聘してきたエージェントが黙っていないでしょう(苦笑)。そのあたり、東京国際フォーラムの執行役員、高橋都彦氏を初めとするスタッフの手腕に期待します。

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2004.07.23

ラトルとコジェナーは同棲中

kozena.jpeg

ソース:英語)
 指揮者のサー・サイモン・ラトルとソプラノ歌手マグダレーナ・コジェナー(写真)が付き合ってるらしいというのはイギリスで以前から報道されていたようですが、この度同棲していることを公式に認めるコメントが出ました。
 これを聞いて、「あれ、ラトルって確か結婚して、子供もいるよね?」と疑問が先ず湧いてきたのですが、どうやら St.Ives様のサイトによると、ラトルは既に前妻と離婚(これで「バツ2」)していたようです。もし仮にこれが正式の婚姻関係へと発展すると、3度目ということになるのですかぁ。そういえばシダックスの野村克也監督が以前「『結婚は3回するのが理想』とカラヤンが言ってた」(←リンク先の2/13日分を参照)と言ってて、今回なぜかそれを思い出しました(笑)。現ベルリンフィルの音楽監督のラトルはプライヴェートでもカラヤン(三回結婚歴有)に「追いつけ、追い越せ」ですね(違)。さて今度の日曜日(7/25)の15:00からNHK-FMで、まさに絶妙のタイミングでラトル指揮、コジェナーがイダマンテを歌ったモーツァルトの歌劇「イドメネオ」が放送されますので、ご興味ある方はどうぞ。というかこのスキャンダルってひょっとして番宣?(笑)

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2004.07.21

あるミュージシャンの死

 カルロス・クライバー逝去。享年74歳。謹んでお悔やみを申し上げます。
 

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2004.07.18

スーパーマリオ幻想曲

 最近ネットで話題になっている「スーパーマリオブラザース」のBGMをピアノで、しかも目隠しで弾いているという動画を見ました。確かに噂に違わぬスゴ腕ですね。まあブラインド・タッチで弾くのは熟練したピアニストならそんなに難しいことではないと思いますが(別にレイ・チャールズがとか梯剛之がとか例を挙げるまでもないでしょう)、この編曲のキモは9分20秒過ぎから最後までの強烈なラッシュでしょう。それにしても肘の使い方から見ると相当腕が確かだと推察されるこのピアニスト、ここによると「このゲームの主人公とイニシャルがおなじ」(「ミスターM」?)な18歳で、クリーブランドの音楽院でPaul Schenly氏の門下となる予定だとか。彼の今後の活動に期待します。そしてぜひこの「スーパーマリオ」をコンサートでも聴かせて下さい(笑)。
 この動画を見て私は「東大ピアノの会」出身の近藤祐嗣氏の手による「ショパンの第3ソナタのフィナーレの主題と,『巨人の星』主題歌による交響的融合」を反射的に思い出しました。これはショパンのピアノ曲に「巨人の星」のメロディーを強引に乗っけたというもので、英雄的壮大さをもつショパンのオリジナルに「巨人の星」の行進曲調の力強い旋律が同時進行するため、もうインパクトの強烈なことこの上ないアレンジです。まあここでああだこうだというよりも聴いて頂いた方が抱腹絶倒の面白さが伝わると思いますのでこちらからどうぞ!

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2004.07.16

加藤ローサの逆襲

 誰に対してか、というのは聞かないで(笑)。で今日「めざましテレビ」に出てたね、加藤ローサ。おいしそうにパフェを食べてたけど、すっかりめざましの雰囲気に馴染んでたのでなんでかなあと思ったら、顔立ちというかメイクというかなんか首から上の佇まいがどことなく中野美奈子に似てるんじゃあ…。
 で今日の「Blog de チェキ日記」ではピアノの前に座るローサちゃんが!眠気さましにピアノを弾いたんだって。いいですね。何を弾いてたのかな…。リチャード・クレイダーマンかなあ、「エリーゼのために」かなあ、それとも…。と妄想する盛夏の夜。
<追記>今録画しておいたタモリ倶楽部を見てたら出てたね、ローサちゃん。すごく笑いの閾値が低そう(笑)。

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2004.07.15

楽譜の編纂・校訂者にも著作権が認められる

ソース:英語)

 この度イギリスで注目すべき判決が出ました。音楽学者Lionel Sawkins氏によって演奏可能な状態に編纂されたMichel-Richard de Lalande(1657-1726:仏)の作品の楽譜は古楽アンサンブルのエクス・カテドラによって積極的に演奏され、その結果de Lalandeの曲が英国の夏の音楽祭「プロムズ」で紹介され、果てにはイギリスの独立系レコード会社の雄ハイペリオンからCDが発売されるまでになりました。そんな中Sawkins氏が自ら編纂・校訂した楽譜に対する著作権を主張し、レコード会社ハイペリオンに著作権料を支払えと訴えました。彼は「CD中の作品の編纂作業には1曲あたり300時間かかった。管弦楽曲に欠けているヴィオラのパートについては作曲もした」とその権利を主張しました。その一方レコード会社は「de Lalandeの曲は既にパブリック・ドメインで、彼の編纂した楽譜を使用したことに対しては使用料を払うが、彼には著作権は存在しない」と反論。で判決は原告の音楽学者の勝訴でハイペリオン側に500,000ポンド(日本円で約1億127万円)の支払いが命じられました。

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2004.07.13

ゲルハルト・ボッセの講演

bosse.jpg

 このあいだ同好の先輩と久しぶりに再会した。その先輩と会うといつも「最近はあの演奏会に行った」「あれが良かった」とかそういう話になるのだが、その先輩は月1,2回のペースで新幹線に乗って東京に出向きコレは!という演奏会に顔を出している、熱心なコンサートゴーアーだ。その日も「明日東京でヴァンスカ指揮読売日響のニールセンに見に行く」と嬉しそうに語っていた。その話を聞いて私は「最近東京とその他の地域の演奏会の地域格差が広がりましたね」と切り出し、昨今のクラシック音楽界の東京一極集中を話題に延々と話し込んでしまった。
 だが関西も時折「おおっ!」という音楽公演を目にすることがある。例えば斉諧生さんのサイトで目にした神戸学院大学でのゲルハルト・ボッセ(写真)による「ベートーヴェンへの道」というタイトルの演奏会付き講演会(7/10)がそうだ。この講演会ではベートーヴェンの音楽がどこからやって来たか、ということに主眼が置かれていて、特にカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの音楽がベートーヴェンに与えた影響について、実際の演奏を織り交ぜながら強調されていた。エマヌエル・バッハを聴いて感じる「驚き」の要素はベートーヴェンの、特に弦楽四重奏曲群に確実に遺伝していると勝手に私は邪推してます(笑)。
 講演が終わってから質疑応答の時間となったのだが、そこでの議論も興味深かった。詳しくは斉諧生さんのところで確認して頂きたいが、昨今のベートーヴェンの演奏解釈についてのやりとりは面白かった。質問者が「フルヴェンやクナの演奏を再評価すべき」と語るのに対しボッセ氏は「過去の巨匠の解釈には共感しかねる部分もある」と述べるなど、私が常々気になっている日本のファンと欧州のクラシック音楽界との嗜好のズレが浮き彫りになった格好。これは芸術上の問題でもあり、レコードセールスなどマーケティングにも影響する商業上の問題でもある。特に朝比奈隆でベートーヴェンやブルックナーに親しんできた関西では欧州の古楽界を多分に意識した演奏解釈の受容には時間を要するかもしれない。

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2004.07.11

ダバディーさん 大胆

 眞鍋かをりさんや加藤ローサさんよりずっと前からココログで活躍されてるフローラン・ダバディーさんも、なかなかいいペースでblogを更新してます。ウェブログのおかげでトルシエの通訳時代よりもダバディーさんを一人の人間として見ることができるようになりました。特に彼がアルメニア系だってのが私の心に引っかかってるんですよ。変な意味じゃあないですよ、アルメニア人の歩んだ苦難の歴史の、その重みを感じているという意味です。そんな彼のblogの更新がいつも楽しみです。まあ時々サプライズなカキコがあるのでそれに対する期待込みですが(笑)。
 そして昨日のカキコを見て私はサプライズを禁じ得ませんでした。何と「椎名りんご(←原文ママ)、夏木マリ、野宮まき(←これも原文ママ)、スチャダラパー、CRAZY KEN BAND、オザケン、「ちょっと異端で、個性のある」好きな日本のアーティストのために曲の作詞をしたい。」と作詞家願望を大胆に独白されておられます。何かこのアーティストのラインアップからレディメイド系な臭いを感じる訳ですが、彼の夢が正夢になるとどんな感じになるんでしょうか。これからもきっとサプライズさせてくれるのではと期待してます(笑)。

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【レビュー】ランパル&ジュリアードSQのクーラウのフルート五重奏曲

Kuhlau2.jpg


1.クーラウ/フルート五重奏曲第1番ニ長調Op51-1
2.同/同第2番ホ長調Op51-2
3.同/同第3番イ長調Op51-3
演奏:ジャン・ピエール・ランパル(フルート)ジュリアードSQ(ロバート・マン&アール・カーリス(ヴァイオリン)サミュエル・ローズ(ヴィオラ)ジョエル・クロスニック(チェロ))

 今日は通常営業で行かせて下さいね(笑)
 ヤフオクでこのCDを見かけたのでジュリアードSQが好きな私は反射的に入札したのですが、ポピュラーといえないこのクーラウという名前、そしてピアノ教材として用いられる「ソナチネハ長調」以外全く聴いたことのない彼の作品をランパルとジュリアードSQが録音したのはどうしてなんだろう?という謎がCDを聴くまでは解けませんでした(このCDの存在すら知らなかったし)。そして一通り聴いてから私は「きっと曲がいいから録音したんだろうな」と何で一回も思わなかったんだろう、と軽く反省することになりました(笑)。
 この3曲のフルート五重奏曲を未聴の方に「じゃあどんな曲ですか?」と尋ねられたら「モーツァルトのフルート四重奏曲より劇的で、ハイドンの弦楽四重奏曲より陰影を含んでいて、豊かな筆致で構成力もある、室内楽というよりは交響曲を聴いているような充実感を味わえる」と答えるでしょう。強いて言うとベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」が近いかもしれないけど、作風自体はクーラウ独自の転調や節回しに満ちているので、「誰々風」と表現するのは不適切でしょう。そして作品の構成がしっかりしていると同時にフルートの色彩や音色が楽しめ、しかもヴィルトゥオーソを披露する場面にも事欠かないので、ランパルの華やかでやや崩し加減の芸風でもすんなり楽しめました。「第1番」はやや平明かつ明快で親しみやすい曲ですが、「第2番」のもの憂い気なムードが印象的ですし、「第3番」は3曲中一番作曲の手が込んでいて、アンサンブルもかなり難しいと思われますが、ランパルとジュリアードSQの名手たちは5人のチームというか個性的集団になって各フレーズに音楽的意図を含ませながら見事な演奏を聴かせています(トラック9、「第3番」の第1楽章がその一番わかりやすい例でしょう)。
 名曲、名演のこのCD、どうやら現在廃盤のようですので、みなさんに「どうぞ」と推薦できないのが残念です。原盤を所有するソニーには再発売を要望します。
(CBS Masterworks,30DC5113)
(追記)このCDを「No Blog, No Life」でも見かけました(笑)。

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2004.07.10

眞鍋かをりさん 大胆

突然ココログで始まった「眞鍋かをりのここまでの話」。なかなかいいペースで更新してますが、いつも楽しいですね。今日はどんなドジ話が聞けるのかと、更新が待ち切れません(笑)。
前から自分で入力してるのではとは思ってましたが、どうやらホントにそのようで、今日はモブログですよ!モブログ。しかもロケ先の露天風呂から(笑)。証拠写真はありませんが(笑)。
でもこの方のblog、きっと芸能人でなく一般市民だったとしても人気が出たに違いないと思う。波田陽区のパロディにも笑ったし。しかしあんまり書くと自分がネタにされますよ(笑)。

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2004.07.09

ベルリン・コーミッシェオパーの「後宮よりの誘拐」

berlin.jpg
(写真)「後宮からの誘拐」の1シーン。
マリア・ベングトソン(コンスタンツェ)とギュントバート・ワーンズ(セリム)

 「ベルリン・コンサート日誌」によりますと、先月20日にベルリン・コーミッシェオパーで上演された歌劇「後宮よりの誘拐」がそのスキャンダラスなまでにリアルかつ執拗な暴力描写で話題になりました。演出家のビエイト氏は現代の売春宿に舞台を置き換え、太守セリムがその宿のボス、コンスタンツェとブロンデはそこの売春婦という設定。
 でコンスタンツェはノルマを達成しないとセリムから性的暴力を加えられるということなのですが、上記リンク先によると首輪で繋がれたコンスタンツェが登場し、アリアを歌う間にセリムはどんどんコンスタンツェの服を脱がしていき、そして下着に手を突っ込んでコンスタンツェの局部を触ったりするそうです。更にその横で「ポン引きのボス」役のオスミンが女性を切り刻んだりするのです(!)。「最初は両腕、鮮血がしたたる。今度は、首筋を切り、意識がなくなったあとは、乳房を切断」し、その乳房を手に掲げるといった風に。客席では「2,30人近くの観客が、逃げるように退場」し、「吐きそうだ」などの野次が飛ぶ有様だったそうです。
 ここまでなら最近はやりのセンセーショナルな演出、というあくまで芸術上の問題なのですが、この公演後スポンサーのダイムラー・クライスラーが財政支援撤回を表明(のちに否定)し、一挙に問題が大きくなってしまいました。ベルリンの3つのオペラハウス(残りの2つは国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ)はドイツ統合後どんどん補助金がカットされ、つねに財政問題を抱えているので、スポンサー収入のカットとなると大事なのです。
 で公演後コミッシェオパーでこの公演をめぐり劇場支配人、音楽監督、そして現役の売春婦(!)を交えた討論会が開かれたというのも驚きです。この場で売春婦の一人が「この公演を見て非常に感銘を受けた」「性産業には確かに暴力が蔓延している。聞いた話によると、タクシー業界での暴力沙汰というのはそれ以上のものがある」「これをきっかけにみんなが、性にからむ暴力のような問題についてお互い議論しあってもらえるようになれば、とてもうれしい」と語ったそうです。このように性的暴力に対する告発という見方の一方で、別の参加者から「私は吐き気を催すばかりでした。私がオペラを見に来るのは、魔法をかけられたいからなんです」という意見も出ました。
 いろいろな驚きの連続だったこの公演、こうやってスキャンダルになっても単にフタをするのでなく、いろいろと公の場で議論するというのが素晴らしいと思いますね。それにひきかえ我が国のプロ野球の議論を許さない密室性といったら…。

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2004.07.06

NHK交響楽団奏者の年収

 つい最近、私の上司とふとしたことから長い雑談になって、そのとき「君は最近チェロを弾いてるのか?」「いや、全然(笑)」とかいう話から音楽話になっていき、やがてなぜか「オーケストラの団員ってどれくらい貰ってるんだ?とくにN響とか」と聞かれてしまい困ってしまったので「そうですねえ、NHKは社員自体結構貰ってるみたいですからねえ」とかいってぼやかした返事で逃げたのだが、今日「Clala-Flala」を見たらその正解が書いてあった。そしたら団員平均で1000万、首席指揮者は2500万だって!
 指揮者の方は世界のトップレベルと比較してそんなに高くはないと思ったけど、オケ団員はクチコミで聞く他の楽団のそれと比較するとやはりN響団員の賃金は日本最高クラスじゃあないでしょうか…。これを聞くと(比較するのが適当なのかどうかわからないが)「紅白歌合戦」の歌手のギャラは(特に新人の場合)けっこう安いよ!とかいうウワサ話とどうしても比較してしまうのですが。まあN響は公演回数も多いので年収が高くなるのかな、とも思わないでもないです。でもその一方でそんだけ給料もらってるんだったらもっとテレビ番組に出たり、もっと公演数を増やしたりしてもいいのに、と勝手なことも思ったりします(←失礼言ってすみません<N響関係者)。なぜならN響が公共の電波に乗る機会が増えればそれだけオケのサウンドに触れる機会が増えるわけで、それでファン獲得に繋がれば言うことないでしょ。英国のBBCが毎日のように自ら所有する楽団のライブをウェブラジオで流してるのと比較しても、もう少し露出があれば…と愚考します。

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2004.07.03

ラジオで聴いたもの-2004年6月-

krivine.jpg

●エマヌエル・クリヴィヌ(写真)指揮NHK交響楽団(6/11 on air)
ツェムリンスキーの交響詩「人魚姫」だったが、流麗かつ優雅で大管弦楽ならではのボリューム感も味わえ、期待通りの演奏で楽しめた。しかしこの曲にもう少し劇的妙味があればもっと楽しめるのだが。
●チョン・ミョンフン指揮東京フィル(6/13 on air)
マーラーの交響曲「巨人」はキレのある演奏で、テンポにもメリハリもつけていた。この曲の持つ「若さ」は充分に表現されていた。も少し「ドーン!」という音の迫力と「青春の痛み」があればよかったけど、そんなのなかなか聞けるモンじゃあないし。
●クリストフ・エッシェンバッハ指揮北ドイツ放送響(6/13 on air)
よく「変だ」「変だ」と言われるエッシェンバッハだけど、私はどちらかといえば「そんなことないよ、彼の解釈には意図が感じられるよ」といってなだめる方だった。で彼のショスタコーヴィチの「交響曲第8番」を先ず第2楽章から聴いてみたら、何コレ、むっちゃ変やがな(笑)。テンポがゆるゆるで、なんとも締まりない感じ。というわけで非常に戸惑ったのだが、次の日に第1楽章から聴いてみたら、第1楽章から最後までずっとゆるゆるテンポで通しているため、かえって第2楽章を改めて聴くと違和感がなかった(笑)。第1楽章ではちゃんと引き締まった表現だったし、その流れで全曲聴くと結局ダレることなく聴けましたが。何か全曲同じ色調で通している感じがする。もっとメリハリをつけるところで全然つけない。テンポの動きもすくないので、足取りが重たい。何だかショスタコというよりアラン・ペッテションの長大かつ陰鬱な交響曲を聴いたときと似た印象を受けた。

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