クラシックジャーナル007(第7号)
EMIに頼まれて書いたんですかぁ~と思うくらいラトルをフィーチャーした創刊号から気にはなっているが、この雑誌にはやや問題があって、この雑誌の主筆の石原俊氏が全ての新譜CD評を担当しているのだが、その筆力にやや問題があると言わざるを得ないのだ。
例えば創刊号のライトナーによるブルックナーの「第6番」の評(pp.78)の冒頭には<ライトナーが「指揮の職人」であったことを示すディスクである>とあるが、この3ページ後の同じくブルックナーの「第9番」では<ライトナーが「巨匠の一人」であったことを示すディスクである>という書き出し。「」(括弧)の中身を変えただけやないかい(笑)。石原主筆のモチベーションの高さには敬意を表するが、やはりレビューは他の批評家の方々にもお願いした方が…(原稿料をケチっているのではと邪推。広告は4ページしかないし)。第7号でも石原氏のテンシュテットのドヴォルザークの「第8番」のCD評(pp.18)を読んだ後これを読むと「どっちが雑誌のレビューなの?」て思うでしょ?まあ広告が4ページしかないというのは、それだけ広告収入に依存しない→広告主(レコード会社)に気兼ねせずに書ける訳なので、思い切った内容の読み応えあるのを一つお願いします。個人的にはレビュー欄で今井信子がヒンデミットの無伴奏組曲の新譜を出しているというのを知っただけでも良かった。また買って彼女の師匠のトランプラーの(RCA)と聞き比べてみよう。
今号はレビュー以外には読ませる記事が多かった。生前のアルトゥーロ・ベデデッティ・ミケランジェリといえばキャンセル魔で知られ、後でプレスに流されるキャンセルの理由などからその気むずかしい性格は伺えたが、まさかここ(pp.98~)で書かれている程我が侭だとは思いませんでした。しかしクライバーと「皇帝」の共演の企画がポシャったのは残念。それから今号から第二次大戦前~戦時中のメトのライブなどの歴史的名盤に造詣が深い山崎浩太郎氏の連載がスタートしたが、「1960年のカラヤン」というタイトルから書く事は分かりきってるのだが、それでも読ませる筆力が彼にはある。山崎さんにはこれからも頑張って欲しい。
まあ私にとっては最後の3ページのこぼれ話が一番興味深かった。この雑誌の編集長は「サブカルとしてのクラシック音楽事始」というタイトルでクラ音楽入門書を書くらしい。しかしクラシック入門書って結局入門書になっていないものが多くて、私が「これは」と思ったのは「メタルからモーツァルトへ」(→amazon.co.jp)位しか思いつかないのが現状なので、とりあえずどんなモノを出してくるのか、期待してます。それから編集後記に「『新撰組!』が史実と違うという理由で批判されるのが納得できない」と(笑)。これからも世間と接点を保ったあとがきを期待してます(笑)。
(アルファベータ ; ISBN:4871987175 )
The comments to this entry are closed.
Comments